(株)コーシングラフィックシステムズ 1991年

米国生まれのMacintoshは当時日本語処理に弱いとされていた。事実1984年に登場してから数年は日本語が使えなかったり、使えても他のパソコンと比較すれば確かに貧弱な時期があったが1989年には最初の日本語ポストスクリプトを採用したレーザープリンタ「Apple LaserWriterII NTX-J」が発売される綺麗な日本語出力が可能になり一気にDTPが普及したという経緯があった。とはいえNTX-Jは定価1,198,000円もしたので個人で手軽にというわけにはいかなかったのだが…(笑)。
また日本語ワープロも数種登場したがPC-9801用のアプリケーションなどと比較すればその品数や種類の豊富さにおいては確かに劣っていたと思う。
「たまづさ」はそんな時代に登場した。Macintosh用の日本語ワープロにもまだ縦書といった機能が皆無だったころ「たまづさ」は縦書専用として、そして原稿用紙専用のワープロとしてリリースされたのだからこの種のソフトを待ち望んでいたユーザー諸氏は驚喜してくれた。モニタに表示する原稿用紙の升目に縦書に日本語が入力され、その升目ごとプリンタに印刷できる簡便さは原稿用紙とか縦書き印刷を強いられる用途には最適だった。しかしMacintosh自体の出荷台数もまだまだ少ない時代だったから問い合わせは「Windows版かMS-DOSはありませんか?」というものばかりだったしその認知度の低さはテレビ番組のカルトクイズの難問として出題されたこともあったくらいだ(笑)。
tamazusa
なかには「コンピュータ時代のいま、今更原稿用紙だなんて不要ではないか」といった心ない意見もあったがおかげさまで確実に時代とともにユーザー数は増えていったのだから面白い。
季刊「本とコンピュータ」1999年春号で著名な作家の水上勉氏は「…ずっと縦書き。コーシングラフィックシステムズという会社が出している『たまづさ』というソフトを使っています。もう旧い仲間です。…」と書かれている。事実プロフェッショナルに使われているケースが多い。
しかし当時、もしかしたら一番喜んでいただいたのはアップルコンピュータだったかも知れない。日本語が貧弱だと言われ続けていたMacintosh環境において他に先駆けてこのような製品が登場したのだから…。事実「たまづさ」は1991年度のアップルコンピュータ・ベストプロダクト賞を受賞している(^_^)。