
Cricket Software,Inc. 1989年
前年の1988年にモノクロ版Cricket PAINTをリリースしたCricket Software社だったが翌年には早くもカラーバージョンをリリースさせ我々を驚かせた。というよりモノクロ版の登場が遅すぎたのかも知れないが実際のところはモノクロ版とカラー版を平行して開発していたのかも知れない。

モノクロ版Cricket PAINTについてはすでに別項で解説している通りだが良い意味でユニークな機能を持ったこのソフトウェアがほとんどそのままカラー仕様になったのだから”ペイントソフト命”の私などは喜んだものである。というわけで是非モノクロ版の項も参考にご一読いただきたい。なぜなら見ていただければ分かるだろうがそのツールパレットはまったく同じなのだ。
最大の特徴はなんといっても確定するまではペイントすなわちビットマップの描写にもかかわらずドロー系のそれのようにオブジェクトとして扱え、移動や拡大・縮小などが簡単にできる点であろう。
また何よりも日本語版ではなかったものの日本語表記が問題なくできたのも実用価値が高かった。そしてペイントソフトとしては群を抜いて多機能だったことも特筆すべきだろう。
そのスプレーガン描写の多彩さ、イラストレータのようにベジエ曲線描写、描いた部分をにじませてカラーを混ぜ合わせる水滴ツール、縦横斜めに等間隔の直線を苦もなく引くことが出来るツール、大変魅力的なSpyro Polygon、描いたパターンを256色パレットの範囲でカラーを自動的に変化させるAnimate機能そしてアンチエリアシング処理でエッジをスムーズに見せるSmooth機能などなど絵を描くには十分な機能を備えていた。
ただし絵を描くといってもPixelPaintなどと比較すれば文字通りスケッチやら素描目的というよりイラストレーションやデザイン志向のツールであるといえよう。