MacroMind,Inc. 1985年 

MacroMind社が開発したアニメーションソフトウェアVideoWorksは当初HAYDEN SOFTWARE社がパブリッシャーとなって販売した製品だった。 
勿論当時のMacintosh環境はモノクロ世界だったし9インチの小さなモニタではあったがマックの中で本格的なアニメーションが作れることを体現させてくれた画期的な製品だった。 
videoworks
このVideoWorksがのちに現在オーサリング・ツールとして不動の地位を確立しているDirectorに進化したことをまず知っておいていただきたい。 
1987年にMacintoshIIとして256色のカラー環境となったがDirectorとしてそのパワーが全開したのはLingoという高度なスクリプト言語が搭載されてからとなる。ただし当時はまだまだそんなことを考えられる時代ではなかった。 
VideoWorksはアニメーションに必要な絵を描く機能からそれらを動画として形成するまでの基本的な機能を良く考えられたオペレーションで実現していくことができた。当時のVideoWorksと現在のDirectorを比較してもベースとなる機能やそのコンセプトは大きく変わっていないことが分かるだろう。しかしVideoWorksだけではないが、当時我々がアメリカの雑誌やわずかに入ってくる情報で知り得た情報は当然のことだがすべてが英語によるものであり、例えマニュアルを手にしても十分に理解できない部分も多かった。ただVideoWorksは付属するMOVIE DISKにサウンドと共に動く魅力的なサンプルデータが複数提供されていたこともあり、そのロジックを勉強することは大変楽しかった記憶がある。 
私の場合はやはりVideoWorksがカラー化された後に本当の意味で実用の道具となった感がある。一番の思い出はあるマック専門誌の編集長が結婚されることになり、予め撮影したお二人の写真や子供のときのデータを元に数分のスライドショー的なコンテンツを作ることを依頼されたことだ。 
はじめはスライドショーだから簡単だと考えていたが当時はカラー写真をデジタイズするにも現実的にはコーシングラフィックシステムズが販売していたColorMagicinしかなかったし、繰り返すが一度に256色しか使えない時代だったのだ。したがって新婦の美しいウェディングドレスをそのまま再現しようとすると新郎のブラックスーツの色相が飛んでしまうのだ…(笑)。 
問題はスライドショーが完成する一週間前に皮肉にも米国に注文をしていたカラー版VideoWorksが届いたことだった。早速使ってみるとその魅力に取りつかれ、これまでの材料を再構成して本格的なアニメーションにしたいと考えるに至り、結局初めから作り直すはめになった。 
まあ何とか結婚披露パーティーに間に合い、多くの参列者の前でご披露できたことは良い思い出となっている。 

1988年にその後Lingoと命名されるスクリプト言語が搭載されるというニュースが1入ってきたとき早速MacroMind社に直接注文したが到着したのは単にコピーしたマニュアル(未完成)と二枚のディスクであり、ディスクラベルには手書きでVideoWorks Interactive Program、そしてVideoWorks Interactive Tutorialsと書かれていた。 
当時はそんな時代だった…。 
後にDirectorがMacroMedia社に移管された直後にビジネスの機会があってカルフォルニアの空が似合う同社のオフィスを訪問したことも記憶に新しい。