
Mindscape,Inc. 1985年
いやはや、このRACTERを手にしたときの衝撃はなかなかのものだった。その感激は今でも覚えているほどだ。
RACTERはユーザーがキーボードでMacintoshの中のRACTERという人格?と会話ができるというソフトウェアなのだ。
RACTER側はテキストだけでなく、スピーチ機能を使い音声出力するために何だかHAL9000と話をしているような錯覚にとらわれる。それに対してユーザー側はキーボードで応酬することになるが勿論そのやりとりは英語であり日本語での会話はできない。

白状すれば私の貧弱な英語能力では付いていけない。なぜならスラング的表現も多く意図が分からない会話があるしその上、生意気にも「シェイクスピアがどうのこうの…」といった話題で煙にまかれることもあるからだ。
また「…ちょっと待ってくれ」とメッセージを残して一分も待たせたまま戻ってこない失礼な仕打ちに合うこともある(笑)。
勿論RACTERは現在でいうところの本格的なAIではないがその上手なパターンマッチング手法と相まってネイティブユーザーなら大変楽しめるのではないだろうか。そしてRACTERで遊んでいると1960年代中頃に誕生して話題になったセラピストがカウンセリングを行う精神科医のエミュレートプログラム「ELIZA」を思い出す。
RACTERはコンピュータによる新たなテクノロジーを予感・体現させてくれる大変印象的なアプリケーションだったことは確かだ。