
私はMac用タブレットなる代物を最初期に手にした1人だがしばらくご無沙汰をしていた。そして約10年ぶりに手に入れたのがペンタブレットの最終形とも言われた「Intuos 3」がさらに進化した新製品「Intuoss 4」である。勿論これでスケッチや絵を描きたいと思っているが購入の直接動機は腱鞘炎対策としてのポインティングデバイス利用でもある…。
パソコンで絵を描くことを考えると不可欠なものがある。それがタブレット…というよりペン型デバイスだ。多くのグラフィックソフトが存在するが水彩や油絵、そしてイラストレーションをマウスで描くには無理がある。その点タブレットはこれまでの絵筆の感覚をそのままに扱えるので自然な描写が可能になる。
今回ほぼ10年ぶりにワコム製タブレットの新製品を購入した動機はそうした絵を描くという意図は勿論だが腱鞘炎対策のひとつでもある。
Macintoshの前に座るときマウスは極力使わず、TRACKBAR emotionというデバイスを活用しているが、随分と慣れたとはいえ正直ポインタを一瞬で思う箇所に移動するとかデジタルカメラで撮った写真にちょっした加筆をしようとするときには残念ながらどうしてもマウスに手が伸びてしまう…。無論そのマウスにしても繰り返すが文字を書いたりスケッチをやろうとするとこれまた思うようにはいかない。
この度手に入れた製品はワコムのハイエンドペンタブレットの新製品「Intuos 4 (インティオス)」のMサイズで、Corel Painter Essentials 4やCorel Painter Sketch Padなどのアプリケーションが同梱されているSpecial Editionである。
「Intuos 4」は紹介すべき点が多々あり、それらをひとつひとつ拾っているとキリがないので今回は特にポインティングデバイスとしてのファーストインプレッションをご紹介したい。
本体カラーはブラックで、これは私が過去に手にしたどのタブレットよりもデザインが素敵で機能も豊富な製品である。やるほど、プロフェッショナル仕様というのがうなずける…。
サイズは約370×254×12mmで読取可能範囲は223.5×139.7mmであり、ファンクションディスプレイを左右どちらにでも向けて使えるシンメトリックデザインだ。
Macintoshとの接続は同梱のUSBケーブルで行うが、ご承知の通りペンそのものはコードレスであり一般的な筆記用具の感触で利用可能である。それから専用コードレスマウスは別売となっている。

※ワコムの新製品「Intous 4」
さてマウスをペンに持ち替えた第一印象だが正直最初は随分と戸惑った。
「Intuos 4」は読取面から10mm以内に近づくと認識すること。そしてマウスによるポインタ移動は相対的座標感覚だが絵を描く都合もあるからと本体の座標検出モードをペンにすると、読取範囲にあるペンの位置とモニタ上のポインタの位置は1:1に対応という感覚の違い。さらにペンによるドラッギングやカット&ペーストなどがシビアにそしてスムーズにいかない…。そのため、MacJournalによる本原稿もどうしたことか一瞬で消してしまったこともあった。とはいえ1日も経てばペンでマウスポインタをコントロールするのに何の問題もなくなったが…。

※マッピングはタブレット読取エリアとモニタ領域を1:1に対応させた設定にしている
ただし私にとって重要なこと、それはマウスを保持するよりペンを持つ方が大変楽だということだ。
それに「Intuos 4」の利点だが、意外に自由度がある。

※「Intuos 4」のタブレットペン。保持しやすく使いやすい
ペンを右手に左手でキーボードのショートカットを使うのもよいし「Intuos 4」のファンクションキーとタッチホイールを活用するのも慣れるとなかなか楽である。
例えばSafariのページスクロールはホイールのモードをスクロールにすれば右手にペンを持ったまま左手でホイールを回せるので快適だ。また8つのファンクションキーもショートカットや修飾キーをアプリケーションごとに割り当てることができるだけでなく、ラジアルメニューを表示し、SafariやApple Mailを起動させることも可能だ。

※グラフィックソフト使用中にラジアルメニューを表示した例
また各設定はボタンやホイールの脇に有機ELディスプレイで表示するので認識がしやすい。

※「Intuos 4」のホイールおよびファンクションキーと有機ELディスプレイ
何とかこの「Intuos 4」を自由に使いこなしながら前記したTRACKBAR emotionと併用する使い方を探ってみたいと考えている。
とはいえ、このプロフェッショナル向けの「Intuos 4」をただ単にポインティングデバイスとして使うために購入したわけではない(笑)。それではこの「Intuos 4」に失礼だしそうであるならBAMBOOシリーズで十分だろう。
「Intuos 4」を机上に置いていると「何かを描こう」という気持ちが強くなってくるが、Macintoshを含めて良い製品とはユーザーへのやる気を増幅させるものだという気がする。
「Intuos 4」はさすがにタブレットペンの出来もよく、Special EditionにバンドルされているCorel Painter Essentials 4やCorel Painter Sketch Padも実用的である。この「Intous 4」のタブレットペンについての詳細や絵を描くツールとしての使い勝手などはしばらく使ってみた後で別途レポートしたいと考えている。
ところでワコムのタブレットといえば個人的に多くの思い出がある…。
例えば1989年だからちょうど20年も昔の話だが、東京池袋にあったTという会社から依頼を受け、Macintosh版として開発を進めてきたというワコム製タブレットのプロトタイプをテスティングおよび評価したことがあった…。
勿論タブレット自体はPC-9801用の製品としてすでに存在していた。したがってMacintosh用として製品化するためにはドライバソフトと当時Macintoshが採用していたADB(Apple Desktop Bus)規格のインターフェースを開発しなければならなかった。
現在のワコム製タブレットはMacintoshのUSBポートとタブレット本体を接続すれば使えるので大変スマートであるが、当時はタブレットの他に現在の外付けハードディスク程もあるタブレットプロセッサ(CU-510)というインターフェース・ボックスが必要だった。そしてパソコンとのインターフェースはRS-232Cである。
私が借り受けたタブレットはSD-510というA5版使用の小型なものだった。そうそう…余談だが、当時はA4版以上の大きさのモノをデジタイザ、A4より小さなモノをタブレットと表して区別していたと思う。
製品は本体の他にそのタブレットプロセッサとMacintoshとの接続を図るために開発されたApple Desktop Bus Interfaceと名付けられた80×125×32mm程度の箱形のもの、そして電子ペンなどで構成されていた。
詳細な契約上の問題は知らないが、このApple Desktop Bus Interfaceボックスが前記T社のオリジナルというふれこみであった。
設置を図った後に専用のドライバをインストールして早速グラフィックソフトを立ち上げテストをしてみたが精度が出ていなかった。
タブレットに大きめな真円を描いた用紙を固定し、その上を電子ペンでなぞってみても開始点と終了点がモニタ上の描写結果では大きくずれてしまう。これはすでにPC-9801用として定評があったタブレット側の問題ではなく、あらためて開発を試みたドライバの問題と思われた。
Macintosh SEおよびMacintosh IIによるテスティングは多義にわたり、テスティングのレポートを持参し次のドライバのバージョンを受け取るため、池袋に出向くのが日課となった。
現在多くのユーザーに愛されているワコム製タブレットにもこうした時代があったのである。
私の会社はその当時起業したばかりだったが、本業のソフトウェア開発だけでなくこうした新製品やプロトタイプの評価あるいはMacintoshの市場を見据えたコンサルティングでもかなりの時間を取られていたのだった…。
その後Mac OS 9に至るまで国内はもとよりだが、Macworld Expoのために出向いたサンフランシスコの会場内などでワコムの小型タブレットをいくつ買ったことか…。しかし当時のタブレットのドライバが何かとコンフリクトを起こす時期があり自然にフェードアウトしてしまったのである。
「Intuos 4」は今のところ目立った問題点はないようだが、ひとつ私の環境ではどうやらATOK 2008と相性が良くないようだ。
一般的なテキストエディタなどでは支障はないが、例えばSafari上のテキストフィールドなどで日本語入力モードにならないケースをいくつか経験した。このとき、ことえりにすると問題なく日本語入力ができたのであまり困ることはなかったが引き続き検証してみたい。