
昔からMacintoshの弱点のひとつと言われていたことに「バッチ処理」があった。MS-DOS等では最初期からこの手の機能を利用できたが、MacはAppleScriptの登場に至るまでは本格的なバッチ処理ツールが存在しなかった。
「バッチ処理」(batch processing)とは、あらかじめ設定しておく一連の作業処理をまとめて実行することを意味する。もともと大型コンピュータで用いられていた言葉だがパソコンでは各種の操作を自動実行する事も意味するようになってきた。
先にも記したとおり、MS-DOSではこの種の機能が使えたにもかかわらずMacではせいぜいSystem 6で自動操作用のMacro Makerというツールが用意された程度で本格的なバッチ処理ツールはApple Scriptの登場を待たなければならなかった。
しかしその優秀なAppleScriptもいざ実際の作業をやらせてみようとするなら一種のコマンド、すなわち記述言語の使い勝手を超えることはできず、一般ユーザーに手軽に活用してもらうまでには至っていない。
Automator(オートメータ)はいわばこのAppleScriptをプログラミングの知識を必要とせず、実行させたい処理をワークフローとしてひとつづつビジュアルに並べていくだけで自動処理をさせることができるもので今回Tigerに初めて搭載された機能である。

※ロボットの印象的な「Automator」アイコン
とまあ、知ったかぶりをしてみたところで初めては私も一緒だから特にこの「Automator」に詳しいわけではない(笑)。しかしこの種のツールを理解するには理屈は不要でありまずは何度も繰り返して実際に操作してみることが重要だと思う。
では早速「Automator」に何かをやらせてみようと、ここではこんなシナリオを考えた。それは「アップルのサイトのトップページを開いておき、そのページに含まれるすべてのイメージを一端デスクトップにダウンロードし、そのイメージをiPhotoへ「AutomatorTEST」という新規アルバムを作成した中に読み込む。そしてデスクトップにダウンロードしたイメージは作業が終わったら削除する」といったことだ。
申し上げるまでもなくそれぞれの作業は単純なことであり難しいものではないが、これを手作業でひとつひとつやることを考えると楽しいことではない(笑)。しかし「Automator」を使って自動実行させればほんの数秒でこれらの目的を完了できるのだから使わない手はないと思う(^_^)。
まず「Automator」のウィンドウをご覧いただきたい。初期値だと画面は大別して4つに区切られている。左には対応するアプリケーションのリストがある「ライブラリ」、続いて各ライブラリを指定するとそれらで利用可能な機能が「アクション」というかたちで並んでいる。またそれらの下には「ヘルプウィンドウ」があり「アクション」を選択するとそれがどのような機能なのかといった概要を示してくれる。

※「Automator」起動直後のウィンドウ
そして右の大きな部分を占めているのが「ワークフロー」エリアだ。ここに「アクション」をドラッグ&ドロップで上から順に並べることでそれにしたがって作業が自動実行されることになる。

※ ワークフローエリアにアクションをドラグ&ドロップした例
さて、自動とは言っても利用者の意志を無視して突っ走っては何をやっているかが分からないから最初に「これから始めますよ…いいですか」という意味のダイアログを表示し、その「OK」ボタンをクリックしたら自動処理がスタートするようにしてみよう。
それには「ライブラリ」の「Automator」から「確認を求める」というアクションをワークフローエリアにドロップする。このワークフローは先の目的のとおり、作業実行にあたり確認を求めるダイアログを表示するが、そのメッセージは適宜ユーザーが入力できるので「Webページから写真を取込iPhotoに取り込みます。」「 作業をスタートするには「OK」ボタンを押してください。」としてみた。

※ 「確認を求める」アクションの設定例
2番目に「ライブラリ」から「Safari」を選び、その「Safariの現在のWebページを取得」を、3番目に同じく「Safari」から「WebページからイメージのURLを取得」をドロップする。その際「URLを取得するイメージ:」は「これらのWebページ上にあるイメージ」を選択しておく。
4番目には同じく「Safari」から「URLをダウンロード」をドロップするが、そのダウンロードの場所はここでは「デスクトップ」にする。そしてここではオプションを選び「実行時にアクションを表示」をONにしてみよう。
さて最後に「ライブラリ」の「iPhoto」を選び、その「アクション」から「写真をiPhotoに読み込む」をドロップする。ドロップするとその時点で何らかの前処理が開始されるのかしばらく次のオペレーションがまたされるがここは我慢(笑)。そして写真の追加先だが、「新規アルバム」を選択してその名前を「AutomatorTEST」と入力し、さらに「読み込み後にソースイメージを削除」のチェックボックスをクリックしてONにする。
これでワークフローの準備は完了だ。

※ ワークフローの全体。今回は5つのワークフローブロックで構成されている
「実行」ボタンをクリックする前に、今回の設定ではイメージを取得するアップルのウェブページは事前に開いて用意しておく必要があるので該当ウェブページをオープンした上で「実行」してみよう。

※ 作業の対象となるアップルのトップページをあらかじめオープンしておく
まずトラブルがなければ1番目のワークフローとして設定したとおり「…作業をスタートするには「OK」ボタンを押してください。」というメッセージを含むダイアログが表示するはずだ。そして「OK」をクリックすることで次に進む…。

※1番目のワークフローで指定したとおりに確認のダイアログが表示する
ほとんど瞬時の後に今度は「URLをダウンロード」の小さなダイアログが表示し実行を続けるかどうかを問う。これは先の4番目のワークフロー設定時にオプションを選び「実行時にアクションを表示」をONにしたからである。勿論「続ける」ボタンをクリックして次に進む…。

※4番目のワークフローで指定したダウンロード前の確認ダイアログである
後は自動終了するまで待つだけだが、終了後にiPhotoを確認すると新しいアルバム名「AutomatorTEST」が出来ており、その中にダウンロードしたイメージが登録されている。またデスクトップ上に一端ダウンロードされたイメージはこれまた指定通りに削除されていることも確認できるはすだ。

※指定したとおりiPhotoに新しい「AutomatorTEST」という名のアルバムが出来ており、そこにアップルのトップページにあるすべてのイメージが指定どおりに読み込まれている
このように目的さえきちんと明確になっている作業を自動化するために便利な「Automator」だが、対応したアプリケーションが一覧となっている「ライブラリ」を見ればお分かりの通り、現時点ではApple純正の…それもOS標準装備のアプリに限られている。しかしこの「Automator」によるアクションなどの詳細はサードパーティー各社に公開されているので、早急に各社の主要アプリケーションにもサポートされるようになるに違いない。