
ここでいう「バックドロップ」とはプロレスの技…ルー・テーズの”岩石落とし”ではない(笑)。バックドロップ(back drop)とは「背景」といった意味であり、写真スタジオなどで使われる背景幕などの類をこう呼んでいる。
したがって話をPoserという3Dアプリケーションに限定するなら文字通り3Dの背景を構成するオブジェクトのことである。
以前にも記したが元々3Dフィギュアを製作するためのPoserは背景を含むいわゆる景観的シーンを作るのには向いていない。無論このことは欠点ではなく向き不向きという部類のことでありPoserはそうした用途を想定していないアプリケーションだと考えるべきだ。
とはいえ確かに前景から遠景に至るシーンを構成することは可能だがその一番の遠景である空は、山々はどうする…と考えるとVue 5のような簡単な手順では出来得ない。そうした意味もあり、かつレンダリングの軽減を図ることも含みPoserにはパノラマ的なオブジェクトによる背景が多々存在し販売されている。
それらは大変使い勝手のよいものだが当然の事ながらそこに展開する背景のシーンを好きに編集することは難しい。
一番単純で簡単なのは3Dオブジェクトの背景ピクチャーとして写真などを貼り込むことだが欠点はその背景と前景に至るまでの距離感を作り出すことができない。何故って背景ピクチャーには奥行きが存在しないのだから。
そんなとき、いわゆるバックドロップのオブジェクトをひとつ用意していると便利である。一種のパノラマ的なスクリーンに任意の写真をマッピンクして背景とすれば好みのシーンが手軽にできる。
バックドロップは3Dに堪能なユーザーなら自身でも作成が可能だが、ここでは最近私が手に入れた「Amphi Backdrop」という製品を使ってその利点の一端をご紹介してみよう。
このバックドロップ類は一般的に単純な一枚板ではなく前記した距離感を作り出すために遠景となるスクリーンの下部から手前にちょうどL字型のような地面に相当するオブジェクトが出ている。例としてご紹介する「Amphi Backdrop」は自然な遠景を演出するため、丁度鍋の一部を切り取った内側のような形状をしているがこれに任意の写真をマッピングすればスクリーン全体が山々だったり空だったり森林だったりと自由な表現ができ、その近景や前景にオブジェクトを配置することで奥行き感のあるシーンを作り出すことができるわけだ。
※Poser用のバックドロップとして販売されている「Amphi Backdrop」の形状
早速実列だが昨年末に出向いた大阪四天王寺を撮影した写真をこのバックドロップに配置してみた。十分な時間がないので細部の見栄えを調整できてはいないがその意味はお分かりいただけるものと思う。
※大阪四天王寺での一枚。ただし前景までの地面を表現するために写真の下部を追加編集している
マッピングはPoser 6ならマテリアルルームから行うが、拡散色の新規ノードから2Dテクスチャー/イメージマップを選択すると表示するテクスチャマネージャーダイアログからファイルを指定する。
※Poser 6のマテリアルルームからバックドロップのオブジェクトに写真をマッピング指定
これでバックドロップにその写真がマッピングされるわけだが、写真のサイズなどの関係からバックドロップ上の見栄えによる縦横比に狂いが生じた場合は元の写真を調整することも方法のひとつだ。しかし一番単純なのはバックドロップ自体の縦横比を変形させて見栄えを調整することだ。
本例では遠景の写真と近景までの距離感を説明するために人物を1人、桜の木を2本、そして最前列に草木を配置の上でレンダリングしてみた。
細かな点はともかく、影などを含みこれが単純に背景ピクチャーを配しただけとは演出力が違っていることを感じていただければ幸いである。
※完成例。影を含みシーンに奥行きが表現されている
そしてバックドロップそのものを含めたシーンを構成するオブジェクト全体を横から見ると確かにそれぞれのオブジェクトが距離を持って配置されていることがお分かりだと思う。
※これが舞台裏だ(笑)。バックドロップを効果的に使えばPoserでも簡単に遠景を演出できる
Poserにおいて背景を作り出す方法には多々あるが、このバックドロップの類をひとつ手元においておくと何かと便利である。