Even G1Aレビュー:日常に溶け込むスマートグラスの完成形
近年、スマートグラスと呼ばれる眼鏡型のウェアラブルデバイスが注目を集めている。AR表示、音声アシスタント、ナビゲーションなど、まるでSF映画の小道具のような機能を備えた製品が市場に登場し始めた。
しかし、実際に使用してみると、期待とは裏腹に「これは玩具ではないか」と感じさせる製品も少なくない。特にSNS上の広告などには、他社の画像や映像を流用したような不自然なビジュアルで構成された激安商品が散見され、出所不明の製品に関しては詐欺まがいの例もあるため、購入時には慎重さが求められる。
私自身、これまでいくつかのスマートグラスを試してきたが、どれも野暮ったいデザインで、実用性にも乏しかった。そうした中で偶然目にしたのが「Even Realities」というブランドの広告である。価格は高めだが、調べるほどに「これは本物かもしれない」という感触が得られ、思い切って購入したのがEven G1Aである。

※Even Realities EvenG1A
■デザインと装着感:まず眼鏡として優れているか
スマートグラスといえど、第一に問いたいのは「眼鏡として快適に使えるかどうか」である。Even G1Aは、マグネシウム合金にサンドストーン仕上げを施したフレームに、チタン合金とシリコンを用いたテンプルを組み合わせている。高級感がありながらも軽量で、常用眼鏡としても十分に通用する仕上がりだ。

私は中学生の頃から眼鏡を必要としてきた人間であり、途中コンタクトレンズも使ったが、結局は眼鏡に戻ってきた。視力矯正の必要性はもちろんだが、眼鏡の「装着感」には人一倍敏感である。昨今は個性的なフレームも増えたが、常用眼鏡としてはフィット感こそが最も重要な要素と考える。
スマートグラスの多くは、機能を詰め込むあまりゴツい外観になりがちである。これ見よがしに「スマートグラスである」と主張するようなデザインは、私には使う気になれなかった。だがEven G1Aは、リムの形状が洗練されており、鼻パッドも可動式のクリングス仕様となっている。顔の形は千差万別であり、成型一体型では快適な装着感は得にくい。Even G1Aはこの点を的確に押さえている。

■レンズ度数に関する私的な背景
私は強度の近視に加え、乱視・飛蚊症・老眼・緑内障といった複数の視覚的問題を抱えている。ただし、2016年と2019年に両目の白内障手術を受け、現在は人工レンズが入っているため、日常生活において老眼鏡や近視用眼鏡の使用頻度は激減した。裸眼でもPC画面を問題なく見られ、書籍も読める。しかし遠方視には専用の眼鏡が必要である。
Even G1Aのレンズは、標準の度無しタイプと、処方箋に基づいた度付きタイプのどちらかを選択可能である。今回は己の視力状況を踏まえ、無度数レンズを選択した。なおレンズにはUVカット機能もあり、睡眠時以外は常用できるスマートグラスとして重宝している。
■開封と装着後の印象
Even G1Aは、外箱からして非常にしっかりした造りである。専用の充電ケースはやや重量感があるが、上蓋を開けると本体がぴったりと収まっている。

また眼鏡フレームやテンプル先端部はわずかに太く設計されており、ここがセンサータッチ操作のエリアとなっている。


全体のデザインは、いかにも「スマートグラスです」といった印象を与えず、むしろシンプルで落ち着いた佇まいである。鼻パッドは成型一体型ではなく、ワイヤ付きの本格的な可動型クリングスで、装着感は極めて良好。さらに交換用パッドが一組付属している点にも好感が持てる。
また、オプションで用意されているサングラスアタッチメントも魅力的だ。簡単に装着でき、外出時や屋外活動時にも対応可能であり、勿論オプションのサングラスデバイス着用時にもEven G1Aの表示機能は働くばかりか、明るすぎる屋外にはサングラス仕様にした方がメッセージが見やすい。


■セットアップと機能面について
セットアップは専用のiOSアプリを使用する。アプリは日本語表示にも対応しており、初期設定自体に戸惑うことはなかった。

ただし、各コマンドや操作の詳細についてはまだ十分に理解できていない部分もあり、今後の使用を通じて習熟が必要である。
ということで、いまのところ…
・音声メモを即時テキスト化する「QuickNote」。
・スクリプトが視界に表示される機能「Teleprompt」。
・相手の話す言語を母国語に変換して表示する「Translate」。
の3種の機能を試しているが、実用の域に達していると思う。また今後もファームウェアなどのアップデートにより、より高度な機能が搭載されるに違いない。
■主な機能と使用感
Even G1Aには、以下のような機能が備わっている。
✅ QuickNote(クイックノート)
右側のタッチバーを長押しで音声メモを即時テキスト化。思いついたことを即記録できるのはとても便利です。近所のスーパーへ買い物に行くときも必要なモノを録音しておくと買い忘れはない(笑)。
✅ Translate(翻訳)
リアルタイム翻訳で、相手の話す言語を母国語に変換して表示。※使用状況により追加料金の可能性あり
✅ Navigate(ナビゲーション)
現実の風景にナビアイコンを重ねて表示。迷いやすい街でもスムーズに移動できます。
✅ Teleprompt(テレプロンプト)
スクリプトが視界に表示される機能。これが私にとって最もありがたい機能で、人前で話す際に資料を見下ろさず、視線を聴衆から外すことなくスピーチが可能になります。しかも、表示されるテキストは自分にしか見えないので自然な印象を保てます。
✅ Even AI(AIアシスタント)
左側のタッチバーを長押しすることで、内蔵AIに音声で質問可能。視覚的に返答が表示され、ちょっとした調べ物にも便利です。
✅ Notification(通知機能)
顔を少し上げるだけでXやインスタグラムなどの通知が表示されます。邪魔にならずに情報確認できるのが秀逸です。

■スペック概要
• Bluetooth:5.2対応
• マイク:2本内蔵
• 防水防塵:小雨・水しぶきに対応
• バッテリー:通常使用で約1.5日持続
• 充電方式:ケースに収納しワイヤレス充電
• アクセサリー:Even G1 Case
• オプション:サングラス用Clip、Even G1 Clip Pouch
■レンズ情報
• カラー:クリア
• 度あり/度なし対応
• 素材:三井化学「MR™シリーズ」採用
• UVカット対応
• 表示:マイクロLED(色はグリーン)
■総評:未来の眼鏡が、ついに実用域に
Even G1Aは、単なる「ガジェット好き」のための製品ではなく、日常的に使える“眼鏡”として、そして“未来の道具”としても高い完成度を備えている。価格帯は確かに高めだが、その価値に見合うだけの品質と実用性を感じた。

※本製品は適宜マークも取得している
スマートグラス市場がまだ成熟しきっていない今、「本当に使える」製品を求めている人にとって、Even G1Aは有力な選択肢となるだろう。
しかし、実際に使用してみると、期待とは裏腹に「これは玩具ではないか」と感じさせる製品も少なくない。特にSNS上の広告などには、他社の画像や映像を流用したような不自然なビジュアルで構成された激安商品が散見され、出所不明の製品に関しては詐欺まがいの例もあるため、購入時には慎重さが求められる。
私自身、これまでいくつかのスマートグラスを試してきたが、どれも野暮ったいデザインで、実用性にも乏しかった。そうした中で偶然目にしたのが「Even Realities」というブランドの広告である。価格は高めだが、調べるほどに「これは本物かもしれない」という感触が得られ、思い切って購入したのがEven G1Aである。

※Even Realities EvenG1A
■デザインと装着感:まず眼鏡として優れているか
スマートグラスといえど、第一に問いたいのは「眼鏡として快適に使えるかどうか」である。Even G1Aは、マグネシウム合金にサンドストーン仕上げを施したフレームに、チタン合金とシリコンを用いたテンプルを組み合わせている。高級感がありながらも軽量で、常用眼鏡としても十分に通用する仕上がりだ。

私は中学生の頃から眼鏡を必要としてきた人間であり、途中コンタクトレンズも使ったが、結局は眼鏡に戻ってきた。視力矯正の必要性はもちろんだが、眼鏡の「装着感」には人一倍敏感である。昨今は個性的なフレームも増えたが、常用眼鏡としてはフィット感こそが最も重要な要素と考える。
スマートグラスの多くは、機能を詰め込むあまりゴツい外観になりがちである。これ見よがしに「スマートグラスである」と主張するようなデザインは、私には使う気になれなかった。だがEven G1Aは、リムの形状が洗練されており、鼻パッドも可動式のクリングス仕様となっている。顔の形は千差万別であり、成型一体型では快適な装着感は得にくい。Even G1Aはこの点を的確に押さえている。

■レンズ度数に関する私的な背景
私は強度の近視に加え、乱視・飛蚊症・老眼・緑内障といった複数の視覚的問題を抱えている。ただし、2016年と2019年に両目の白内障手術を受け、現在は人工レンズが入っているため、日常生活において老眼鏡や近視用眼鏡の使用頻度は激減した。裸眼でもPC画面を問題なく見られ、書籍も読める。しかし遠方視には専用の眼鏡が必要である。
Even G1Aのレンズは、標準の度無しタイプと、処方箋に基づいた度付きタイプのどちらかを選択可能である。今回は己の視力状況を踏まえ、無度数レンズを選択した。なおレンズにはUVカット機能もあり、睡眠時以外は常用できるスマートグラスとして重宝している。
■開封と装着後の印象
Even G1Aは、外箱からして非常にしっかりした造りである。専用の充電ケースはやや重量感があるが、上蓋を開けると本体がぴったりと収まっている。

また眼鏡フレームやテンプル先端部はわずかに太く設計されており、ここがセンサータッチ操作のエリアとなっている。


全体のデザインは、いかにも「スマートグラスです」といった印象を与えず、むしろシンプルで落ち着いた佇まいである。鼻パッドは成型一体型ではなく、ワイヤ付きの本格的な可動型クリングスで、装着感は極めて良好。さらに交換用パッドが一組付属している点にも好感が持てる。
また、オプションで用意されているサングラスアタッチメントも魅力的だ。簡単に装着でき、外出時や屋外活動時にも対応可能であり、勿論オプションのサングラスデバイス着用時にもEven G1Aの表示機能は働くばかりか、明るすぎる屋外にはサングラス仕様にした方がメッセージが見やすい。


■セットアップと機能面について
セットアップは専用のiOSアプリを使用する。アプリは日本語表示にも対応しており、初期設定自体に戸惑うことはなかった。

ただし、各コマンドや操作の詳細についてはまだ十分に理解できていない部分もあり、今後の使用を通じて習熟が必要である。
ということで、いまのところ…
・音声メモを即時テキスト化する「QuickNote」。
・スクリプトが視界に表示される機能「Teleprompt」。
・相手の話す言語を母国語に変換して表示する「Translate」。
の3種の機能を試しているが、実用の域に達していると思う。また今後もファームウェアなどのアップデートにより、より高度な機能が搭載されるに違いない。
■主な機能と使用感
Even G1Aには、以下のような機能が備わっている。
✅ QuickNote(クイックノート)
右側のタッチバーを長押しで音声メモを即時テキスト化。思いついたことを即記録できるのはとても便利です。近所のスーパーへ買い物に行くときも必要なモノを録音しておくと買い忘れはない(笑)。
✅ Translate(翻訳)
リアルタイム翻訳で、相手の話す言語を母国語に変換して表示。※使用状況により追加料金の可能性あり
✅ Navigate(ナビゲーション)
現実の風景にナビアイコンを重ねて表示。迷いやすい街でもスムーズに移動できます。
✅ Teleprompt(テレプロンプト)
スクリプトが視界に表示される機能。これが私にとって最もありがたい機能で、人前で話す際に資料を見下ろさず、視線を聴衆から外すことなくスピーチが可能になります。しかも、表示されるテキストは自分にしか見えないので自然な印象を保てます。
✅ Even AI(AIアシスタント)
左側のタッチバーを長押しすることで、内蔵AIに音声で質問可能。視覚的に返答が表示され、ちょっとした調べ物にも便利です。
✅ Notification(通知機能)
顔を少し上げるだけでXやインスタグラムなどの通知が表示されます。邪魔にならずに情報確認できるのが秀逸です。

■スペック概要
• Bluetooth:5.2対応
• マイク:2本内蔵
• 防水防塵:小雨・水しぶきに対応
• バッテリー:通常使用で約1.5日持続
• 充電方式:ケースに収納しワイヤレス充電
• アクセサリー:Even G1 Case
• オプション:サングラス用Clip、Even G1 Clip Pouch
■レンズ情報
• カラー:クリア
• 度あり/度なし対応
• 素材:三井化学「MR™シリーズ」採用
• UVカット対応
• 表示:マイクロLED(色はグリーン)
■総評:未来の眼鏡が、ついに実用域に
Even G1Aは、単なる「ガジェット好き」のための製品ではなく、日常的に使える“眼鏡”として、そして“未来の道具”としても高い完成度を備えている。価格帯は確かに高めだが、その価値に見合うだけの品質と実用性を感じた。

※本製品は適宜マークも取得している
スマートグラス市場がまだ成熟しきっていない今、「本当に使える」製品を求めている人にとって、Even G1Aは有力な選択肢となるだろう。