Even G1Aレビュー:日常に溶け込むスマートグラスの完成形

 近年、スマートグラスと呼ばれる眼鏡型のウェアラブルデバイスが注目を集めている。AR表示、音声アシスタント、ナビゲーションなど、まるでSF映画の小道具のような機能を備えた製品が市場に登場し始めた。
 しかし、実際に使用してみると、期待とは裏腹に「これは玩具ではないか」と感じさせる製品も少なくない。特にSNS上の広告などには、他社の画像や映像を流用したような不自然なビジュアルで構成された激安商品が散見され、出所不明の製品に関しては詐欺まがいの例もあるため、購入時には慎重さが求められる。
 私自身、これまでいくつかのスマートグラスを試してきたが、どれも野暮ったいデザインで、実用性にも乏しかった。そうした中で偶然目にしたのが「Even Realities」というブランドの広告である。価格は高めだが、調べるほどに「これは本物かもしれない」という感触が得られ、思い切って購入したのがEven G1Aである。

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※Even Realities EvenG1A


■デザインと装着感:まず眼鏡として優れているか
スマートグラスといえど、第一に問いたいのは「眼鏡として快適に使えるかどうか」である。Even G1Aは、マグネシウム合金にサンドストーン仕上げを施したフレームに、チタン合金とシリコンを用いたテンプルを組み合わせている。高級感がありながらも軽量で、常用眼鏡としても十分に通用する仕上がりだ。

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私は中学生の頃から眼鏡を必要としてきた人間であり、途中コンタクトレンズも使ったが、結局は眼鏡に戻ってきた。視力矯正の必要性はもちろんだが、眼鏡の「装着感」には人一倍敏感である。昨今は個性的なフレームも増えたが、常用眼鏡としてはフィット感こそが最も重要な要素と考える。
スマートグラスの多くは、機能を詰め込むあまりゴツい外観になりがちである。これ見よがしに「スマートグラスである」と主張するようなデザインは、私には使う気になれなかった。だがEven G1Aは、リムの形状が洗練されており、鼻パッドも可動式のクリングス仕様となっている。顔の形は千差万別であり、成型一体型では快適な装着感は得にくい。Even G1Aはこの点を的確に押さえている。

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■レンズ度数に関する私的な背景
私は強度の近視に加え、乱視・飛蚊症・老眼・緑内障といった複数の視覚的問題を抱えている。ただし、2016年と2019年に両目の白内障手術を受け、現在は人工レンズが入っているため、日常生活において老眼鏡や近視用眼鏡の使用頻度は激減した。裸眼でもPC画面を問題なく見られ、書籍も読める。しかし遠方視には専用の眼鏡が必要である。
Even G1Aのレンズは、標準の度無しタイプと、処方箋に基づいた度付きタイプのどちらかを選択可能である。今回は己の視力状況を踏まえ、無度数レンズを選択した。なおレンズにはUVカット機能もあり、睡眠時以外は常用できるスマートグラスとして重宝している。

■開封と装着後の印象
Even G1Aは、外箱からして非常にしっかりした造りである。専用の充電ケースはやや重量感があるが、上蓋を開けると本体がぴったりと収まっている。

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また眼鏡フレームやテンプル先端部はわずかに太く設計されており、ここがセンサータッチ操作のエリアとなっている。

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全体のデザインは、いかにも「スマートグラスです」といった印象を与えず、むしろシンプルで落ち着いた佇まいである。鼻パッドは成型一体型ではなく、ワイヤ付きの本格的な可動型クリングスで、装着感は極めて良好。さらに交換用パッドが一組付属している点にも好感が持てる。
また、オプションで用意されているサングラスアタッチメントも魅力的だ。簡単に装着でき、外出時や屋外活動時にも対応可能であり、勿論オプションのサングラスデバイス着用時にもEven G1Aの表示機能は働くばかりか、明るすぎる屋外にはサングラス仕様にした方がメッセージが見やすい。

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■セットアップと機能面について
セットアップは専用のiOSアプリを使用する。アプリは日本語表示にも対応しており、初期設定自体に戸惑うことはなかった。

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ただし、各コマンドや操作の詳細についてはまだ十分に理解できていない部分もあり、今後の使用を通じて習熟が必要である。
ということで、いまのところ…
・音声メモを即時テキスト化する「QuickNote」。
・スクリプトが視界に表示される機能「Teleprompt」。
・相手の話す言語を母国語に変換して表示する「Translate」。
の3種の機能を試しているが、実用の域に達していると思う。また今後もファームウェアなどのアップデートにより、より高度な機能が搭載されるに違いない。

■主な機能と使用感
 Even G1Aには、以下のような機能が備わっている。
✅ QuickNote(クイックノート)
右側のタッチバーを長押しで音声メモを即時テキスト化。思いついたことを即記録できるのはとても便利です。近所のスーパーへ買い物に行くときも必要なモノを録音しておくと買い忘れはない(笑)。
✅ Translate(翻訳)
リアルタイム翻訳で、相手の話す言語を母国語に変換して表示。※使用状況により追加料金の可能性あり
✅ Navigate(ナビゲーション)
現実の風景にナビアイコンを重ねて表示。迷いやすい街でもスムーズに移動できます。
✅ Teleprompt(テレプロンプト)
スクリプトが視界に表示される機能。これが私にとって最もありがたい機能で、人前で話す際に資料を見下ろさず、視線を聴衆から外すことなくスピーチが可能になります。しかも、表示されるテキストは自分にしか見えないので自然な印象を保てます。
✅ Even AI(AIアシスタント)
左側のタッチバーを長押しすることで、内蔵AIに音声で質問可能。視覚的に返答が表示され、ちょっとした調べ物にも便利です。
✅ Notification(通知機能)
顔を少し上げるだけでXやインスタグラムなどの通知が表示されます。邪魔にならずに情報確認できるのが秀逸です。

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■スペック概要
• Bluetooth:5.2対応
• マイク:2本内蔵
• 防水防塵:小雨・水しぶきに対応
• バッテリー:通常使用で約1.5日持続
• 充電方式:ケースに収納しワイヤレス充電
• アクセサリー:Even G1 Case
• オプション:サングラス用Clip、Even G1 Clip Pouch

■レンズ情報
• カラー:クリア
• 度あり/度なし対応
• 素材:三井化学「MR™シリーズ」採用
• UVカット対応
• 表示:マイクロLED(色はグリーン)

■総評:未来の眼鏡が、ついに実用域に
 Even G1Aは、単なる「ガジェット好き」のための製品ではなく、日常的に使える“眼鏡”として、そして“未来の道具”としても高い完成度を備えている。価格帯は確かに高めだが、その価値に見合うだけの品質と実用性を感じた。

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※本製品は適宜マークも取得している

スマートグラス市場がまだ成熟しきっていない今、「本当に使える」製品を求めている人にとって、Even G1Aは有力な選択肢となるだろう。


喜寿の旅路 —雨と光の古都巡り—


 この6月2日から4日の三日間、私は女房と一緒に京都・奈良にいた…。思えば2年前の11月に結婚46周年を記念して秋の京都を楽しんだが,今回は6月3日が私の喜寿の誕生日にあたるのでこれまた女房がセッティングしてくれたからだ。
 京都までの往復は新幹線のグリーン車、そして宿泊先は京都駅から直結のホテルグランヴィア京都と贅沢な2泊3日だった。ただし問題は天気予報によると肝心の3日が雨模様なことだった…。 それ以上に不安は私自身の足腰が持つかということだが、2年前に書いたブログにも以下のような愚痴を言っている。

ーーそれは観光のピーク時の京都は年寄りのくる所ではない…ということだ。若い時には思いもしなかったが己が歳を取り、足腰が思うようにならなくなったから気づくことだが、京都を楽しむにはどこの神社仏閣にしろ歩かなければ話しにならない。 バリアフリーの場所などほとんどないわけだし、地下鉄や電車にしろ駅への道の多くは下りたり登ったりの階段だしエスカレーターは名目ほどしか備わっていない。 まあ、歩けないのならどこへ行っても楽しめないのは真理だろうが、世界有数の観光地である京都であるからしていま少しエスカレーターを増やすなどして欲しいと思った。ーー

こんな愚痴を吐いた口が冷めない打ちにまたまた京都に向かうのだからどうかと思うが、自分の体力は己の問題なのだから京都に文句を言っても仕方がない(笑)。

■6月2日(月曜日)
 出発のこの日は持参するあれこれの点検などもあるからと5時に起床し8時に自宅を出た。新幹線は新横浜からの乗車だ。 一応、この辺りに行ってみたい…と目星は付けてはいたものの天気や体調により柔軟に廻れるようにとガチガチのスケジュールは組まなかった。

新幹線

 ともあれ新横浜で新幹線に乗り込んで人心地がつき、新幹線名物の氷のように堅いアイスクリームとホット珈琲を注文した。 また京都へは丁度昼時に到着するので車内で弁当を食べようと乗り込む前に購入!そうした駅弁を食すのも楽しみのひとつだが、駅弁も約1,500円程度と随分と値上がりしていた。

 京都へは予定通り12時23分に到着した。 とはいえホテルのチェックインは15時からなのでまずは荷物だけ預かってもらい、身軽になって三十三間堂へタクシーで向かった。ここはご承知のように修学旅行コースでもあり何度か足を向けたものの、すでに30年ほどご無沙汰していたところなのだ。

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 三十三間堂は正式には蓮華王院というらしいが、日本唯一の千体観音堂でもあり圧巻だ…。 ただし最初から愚痴になるが、京都や奈良の仏閣のほとんどはご本尊はもとより建物内は撮影禁止である。 その理由は「仏像は信仰の対象であって、鑑賞の対象である美術品ではないからです」というものらしいが、時代は変わってきている…。
  私自身もそうだが、三十三間堂の本尊である中央に座す十一面千手千眼観世音立像の前に立てば、その凜々しい姿に両手を合わすものの、信仰の対象としては対峙していない。信仰のために京都奈良を巡る人など外国人観光客は勿論のことだが少ないに違いない。 そしてスマホがこれだけ普及した現在、旅の記録…思い出としてカメラに収めたいのは人情である。罰当たりとお叱りを承知で物申せば、フラッシュは厳禁としても館内を撮影するのをそろそろ許可していただきたいものだ。いや「撮影は500円いただきます」でも私は喜んで払いたい(笑)。
 本当かどうかは不明だが、写真撮影を許可するとお土産のポストカードなどが売れなくなる…といった説もあるらしい。 ともあれ三十三間堂を後にした私たちは飽きもせず清水寺にとタクシーに乗り込んだ。しかし運転手さん曰く混雑しているので定番の駐車場には止められないという。代わりに少し歩くが裏道というか、裏技的な場所へならご案内します…とのこと。
 この時期は本来シーズンオフのはずだが近年外国人が多く車も入れない場所が多くなったという。また混雑と言えば修学旅行の生徒さんたちの姿も目立つ。 というわけで、「六條天皇御陵」および「高倉天皇御陵」の石碑がある場所でタクシーを降りるが5分ほど歩けば清水寺の境内に入れるとのこと。まさしく裏道だが竹林を抜けると清水寺内に入れた。三重塔を回り込むと向こうには清水の舞台が広がってるというロケーションだった。

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 ただしその混み様から清水の舞台に足は向けず、そのまま参道に出て定番の「朝日堂」というお店の喫茶室で甘味とお茶で疲れを癒やした。 そして女房の希望もあり、これから産寧坂と二年坂を降りることになるがステッキを突いての歩行はなかなかに辛い…。 それでもかなりの混雑の中を歩き通したところで幸いタクシーを拾うことが出来たのでそのまま京都駅へと戻る。

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 宿泊先のホテルはグランヴィア京都という京都駅と一体となった巨大なホテルだ。チェックインを済ませて部屋に入ると旅先だという感覚が強まる(笑)。ベッドに大の字になり体を休ませるが、窓の外は京都タワーという絶景?のロケーションだった。

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 ホテルの室内で体を休めた我々は夕食のため駅前地下の商店街に足を向けた。日中いろいろとつまみ食いしたことでもあり今夜はラーメンでも…と考えてたいところ「一風堂」のお店を発見したのでそこで済ますことにした。中学の修学旅行生徒が数人すでに食べているのに出くわしたが、己の大昔を思い出し羨ましいと思った(笑)。

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 ホテルに戻り、今日撮影した写真の整理などをしているうちに疲れもあって眠気が襲ってきた。 おやすみなさい!

■6月3日(火曜日)  
 今日は私の誕生日であるし自分でも驚くが喜寿だという。朝ホテルのベッドで目が覚めたが足腰が痛くしばらくそのままベッドで大の字になっていた。外は残念ながら雨模様…。本来なら観光には最悪の天気だが、思い切って奈良に行ってみようと決断した。
 奈良へは30年ほどぶりになる…。 ということで楽しみのひとつ、ホテルのバイキング会場で朝食をと女房とでかけた。早めの時間帯だが結構混雑している。そして申し上げるまでもなく様々な食材が並んでいるものの、好き嫌いが多いので自分の皿に乗せるのは限られたものだけだが、美味しかった。

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 食事が終わり一息入れた後に近鉄奈良線の座席指定券を買い奈良へと向かう。 近鉄奈良駅についたが雨は本降りなので持参した折りたたみ傘では埒が明かないからと商店街でビニール傘を買って一路興福寺に向かった。
 興福寺は無論あの阿修羅像に会いにいくためだが、早くも奈良公園の名物でもある鹿たちに囲まれ歓迎を受ける。これらの鹿は天然記念物であり古くから春日大社の神の使いとされ、人々と親密な関係を築いてきたという。 また野生でもあり、今日のような雨でも濡れたまま観光客に近寄ってくる。

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 女房は雨に濡れつつ少し痩せた鹿を眺めながら「可哀想」を連発し、せめて鹿せんべいでも買おうとするが、雨だからかその煎餅を売る人が見当たらない。
 さて興福寺では中金堂、東金堂、国宝館を回ったがやはり目玉は阿修羅がいる国宝館。30年ほど前の記憶ではガラスのケースに入っていたが今回はガラス越しで無く直接見ることが出来た。     
 これで写真撮影が可能なら己の眺めた阿修羅像として記憶に深く残り、かつよき旅の記念・記録となるのだが撮影禁止なので…ポストカード買っても正直つまらん…(笑)。

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 早々に興福寺の拝観を終え、せっかくだからと東大寺に足を向ける。 路道はすでに奈良公園でもあり多くの鹿が群れているが女房はやっと鹿せんべいを売っている場所を見つけて買った途端に…数匹の鹿に囲まれ悲鳴を上げている…(笑)。 冗談抜きであまり焦らすとマズルで付いたり服や持ち物を囓ったりするから注意も必要だ。

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 その後私も鹿せんべいを買ったが、いやはや一時期傘をさしたまま逃げ回った(笑)。 疲労の極致にやっと東大寺の大仏殿にたどり着いた。ここは嬉しいことに境内で三脚を使うことは禁止されているが写真撮影はOKなのが嬉しい。
 大仏の周りを写真に撮りながら一回りしたが、iPhone 14 Proのカメラは優秀で薄暗い中でも綺麗に撮れる。そういえば近年は旅行にコンパクトカメラは勿論、一眼レフカメラは持参せずiPhoneのみになった…。

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 東大寺を後にした際、突風でビニール傘が無残に壊れたほど風も強く雨脚も強かった。問題はこの足腰で近鉄奈良駅まで歩く気にはならずタクシーを探してホッとした。 駅についたときは丁度昼時だったこともあり、商店街にあった鰻屋に飛び込んだ。そして私はうな丼を、女房はひつまぶしを食べ人心地がついた。 後は京都に戻るだけだ…。

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 近鉄奈良線乗り場近くでお土産を買い一路京都へ。 繰り返すが今日6月3日は私の誕生日だということで女房がディナーのため伊勢丹10階にあるイタリアレストラン「The Kitchen Salvatore Cuomo」という店を予約してくれていた。

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 席から眺める窓の外は京都タワーが眼前というロケーションだし料理もおいしかった。最後のデザートはプレートに乗ったケーキにキャンドルが2本と誕生日祝いのメッセージが描かれていた…。 そういえば、ホテルの部屋に届けられた当日の読売新聞夕刊には長嶋茂雄氏が亡くなられた記事で埋め尽くされていた。

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■6月4日(水曜日)  
 早くも帰る日が来た…。幸い天気は良さそうだ。新幹線に乗る時間は昼だったが、この日はどこかに寄るつもりはなく土産を買う仕上げをするつもりでいた。 今日の朝も朝食はバイキングにしたが、女房はデザートだと抹茶のソフトクリームを持ってきた。
 2泊3日の旅とはいえ帰る日になってみると本当に短い時間だったという印象だ。しかし今回は天気が悪いなか、奈良まで足を伸ばしたしそれなりの満足感は達成できた。したがって贅沢な旅行をセッティングしてくれた女房にあらためて感謝したい!

 少し早めにホテルをチェックアウトし、駅構内にあるスターバックスで時間調整した後にこれまた昼用の駅弁を抱えて新幹線のグリーン車に座ったときには「京都・奈良はこれが最後かな…」という思いがふとよぎった…。
  列車は些か混雑していたが、私たちは早速駅弁を広げることに…。寿司飯が美味しい!
 来るときには 雲空で富士山が見えなかったから今度は見よう…と窓側に座った女房がiPhoneを構えるが、やはり雲がなかなか離れなかったものの一瞬のチャンスがあったのでまずまずの一枚が撮れた。

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 新幹線は名古屋に止まった後は新横浜、品川そして東京と止まる列車だったが我々は新横浜で降り、横浜線で橋本駅で乗換て京王永山に向かう…。その間、私はKさんに永山駅到着時刻をSNSでお知らせした…。

 Kさんは私たちの子供の年齢に相当するお若い奥さまだが、ありがたいことに愛犬ラテが縁となり家族ぐるみでお付き合いをさせていただいている方である。 そのKさんが車で自宅までお送りしてくださるとのことだったからだ。
 駅の改札を出て指定された場所まで行くとKさんが車から降り笑顔で私たちを迎えてくださった。その笑顔に接して「帰って来たんだ」という思いが広がった。 ということで、なんとも贅沢で恵まれた旅の終わりだったが、そのKさんから誕生日祝いだとしてケーキと花束をいただいたとき、私は少し涙ぐんでいた。

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(完)



今更のiBook G3 Dual USB 700MHz 384MB 中古品入手

私は1984年1月24日にリリースした初代Macintoshから此の方、現在の最新機種であるM4 Mac miniに至るまで多くのMacintoshを手にしてきた。その間、CPUが変わったり、OSが変わるなどこれまた幾多の変化を身をもって体験してきた。それは趣味というだけでなく1989年にはMacintosh専門のソフトウェア開発会社を立ち上げたため、仕事となったからでもあった。


最大の変化は申し上げるまでもなくスティーブ・ジョブズがAppleに復帰後、MacintoshのOSがモダンOS…すなわちMac OS Xとなったことだった。ただし暫くは旧OS…MacOS9あたりは実務として手放すわけにはいかずにいたが、それも三年近く前には意識的に切り捨て、関連ハードウェアやソフトウェアなども終活という名の下に処分をした。

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※あらためてヤフオクで入手したiBook G3 Dual USB 700MHz 384MB。MacOS 9をインストール


一時はハードウェアにしてもオールド機種のコレクターかと思われ、多くのメディアから貸出依頼もあったが、個人的には収集したというよりソフトウェアを動かすためにハードが必要だった…というのが本当の所だったから処分もほとんど未練は無かった。
ということで最新のmacOSに専念したわけでそれ以前のMacOSとは縁を切ったつもりだった。

ところが、デジカメ最初期の記録は勿論、データバックアップのためにCD-Rに記録していた膨大なデータの整理をしようと思い立ったものの、肝心のCD-RがmacOS環境では読めないのである。また古い画像データの中にはPICTフォーマットも多く「残すか破棄か」を判断するにしてもまずは中身の確認をしたいと些か不本意ではあったがMacOS 9が正常に使える中古のマシンを手に入れる算段をすることになった。

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※ホワイトの筐体は経時変化で些か黄ばんでいるが機能に関係ないので良しとしよう…


MacOS 9環境のマシンは扱い易い事を考えノート型が基本だが、小型であることや洗練されたデザインをと結局 iBook G3…それもシェル型ではない製品をヤフオクで探した。
そもそもヤフオクでマシンを入手するにはそれなりのリスクを伴う。ただし大層なことをやらせようとしているわけではなくデータの確認が主な仕事なので多少の問題があっても仕方がないと覚悟の上だった。

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※Dual USB仕様だった


しかし結果 iBook G3 Dual USB 700MHz 384MBを落札したが、ラッキーだったと思われる。このiBook G3 700MHzはDual USB仕様であり2001年に発表された製品と思われるが、バッテリーは消耗していたもののACアダプターで問題なく起動し、液晶モニターもビネガーシンドロームは起きていなかった。
本体が黄ばんでいるのは機能に影響が無いので問題ない。そしてインストールされていたMacOS 9がトラブルなく使えれば目的は達せられるし内蔵のDVD-ROM/CD-RWコンボドライブもまったく問題がないようだ。

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※内蔵のDVD-ROM/CD-RWコンボドライブも問題なかった


しいて問題点を挙げるなら、液晶部のヒンジがいささか緩くなっているようなのとトラックパッドのクリック部位がチャタリングを起こしやすいということぐらいだ。
無論この状態がいつまで保たれるのかは分からないが、よき状態のマシンを手に入れることができ満足している。
そういえばこれと同じ製品をリアルタイムで購入し、オーストラリア旅行の時に持参した思い出が宿るが、一度手放した製品を再び手に入れようとは思いもしなかった…。
それはそれとして…自社開発アプリの主なものをインストールしてみたものの、言い訳めくがMacOSのオペレーションはもどかしいし、すでに25年近く触っていなかったこともあり、悲しいかな自社アプリも思うようにオペレーションできないので苦慮している…(笑)。



セミホロウボディ/エレクトリックギターを手にして!

現在、電子ピアノを楽しみつつ、新たにエレクトリック・チェロを始めました。そんな中、今回「Redid セミホロウボディ エレクトリックギター RD-100/Fホール仕様(ブラック)」を手に入れました。

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 自分でも節操がないとは思いつつ…長年弾き続けたクラシックギターを腱鞘炎とバネ指のために断念せざるを得ませんでしたが、右手の指が思うように動かないならピックを使えばよいのではないか、左手もクラシックギターのセーハが辛いなら、ネック幅が細めのエレクトリックギターでロックスタイルの握り方(シェイクハンドスタイル)にすれば弾けるのではないかと考えました。
また、これまでこだわってきたクラシックやフラメンコに加え、ポピュラー音楽やジャズにも挑戦してみたくなり、今回このギターを選びました。決して高級品ではありませんが、楽しむには十分であり、エレクトリック・チェロ用に手に入れたミニアンプも共有できるという利点があります。

セミホロウボディとは
 セミホロウボディとは、ネックから伸びる「センターブロック」を備え、その左右部分が空洞になっている構造のギターを指します。「セミアコースティックギター(セミアコ)」とも呼ばれ、エレキギターとアコースティックギターの特性を兼ね備えたサウンドが特徴でジャズやブルースなどに最適だと言われています。デザインは、1958年にギブソンが発表した世界初のセミホロウ・エレクトリックギター「ES-335」モデルを模したもののようです。

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スペックとしては、トップ&バックにバスウッドを採用し、ネックはカナダ産ハードメイプル、指板はローズウッド。3ウェイトグルスイッチに加え、2つのボリュームと2つのトーンノブを備えています。そして高さは約108.2cm、幅が52.3cm、奥行き11.9cmほどであり重さは4.8kgの製品です。

ギターを手にしての感想
 実際に手に取ってみると、想像以上に美しい仕上がりでした。Fホール部分も丁寧に処理されており、ボディのバインディングや指板のインレイも高級品ではないものの、美しく仕上げられています。また糸巻きの機構も滑らかです。

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クラシックギターからの転向について
 このギターを手にしたことを知った友人たちは、「クラシックギターとエレキギター(特にジャズ)は奏法が大きく異なる。ゼロから始めるのは大変では?」と心配してくれました。しかし、実は私は若い頃にエレキギターで舞台に立った経験があります。

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就職後、クラシックギターを弾き、フォークソングを好むことが知られたのか、総務課に配属された同期のK君から「会社公認バンドに加わらないか」と誘われました。そして、リードギター兼ボーカルとして、夏のビヤパーティーやクリスマスのダンスパーティーなどで演奏していました。
ベンチャーズやスプートニクスを演奏することもあれば、「ラブユー東京」といった歌謡曲を手掛けることもありました。とはいえ、それも50年も前の話。その経験がそのまま役に立つとは思いませんが、少なくともピックで演奏することには違和感がありません。
ピアノ、チェロ、そしてギターと、三つの楽器に手を出せば、どれも極めることはできないでしょう…。しかし、時にピアノの前に座り、時にギターを抱える――そんな時間そのものが楽しく、喜びに満ちています。そもそもこの年齢になって「上手くなろう」と気負うつもりはなく、ただ純粋に楽器を奏でることを楽しんでいこうと思っています。






ChatGPT4-o対応ドッキングステーションHiDock H1E とは?

現在あちらこちらで広告が目に付くHiDock H1Eというガジェットを買ってみた。これはAI ボイスレコーダー機能を持ちChatGPT-4o連携でワンタッチ文字起こし、自動要約をしてくれて複数の話者を識別するという優れたデバイスである。さらに8-in-1 USB-C ドッキングステーションとしても秀悦だ…。


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※M4 Mac mini環境で活用することに…


この製品について説明・解説するのは些か難しいし正直面倒だ(笑)。それは機能が豊富ということだけでなくユーザー側の求めにより価値がかなり変わると思われるからだが、あえて簡単に言うなら文字起こしと自動要約機能を搭載したAIボイスレコーダーである。
ということでまずHiDock H1E の主な機能をご紹介しよう…。

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※パッケージ


①USBドッキングステーション
②マイクロフォン
③スピーカー
④音声録音機能
⑤ノイズキャンセリング機能
⑥録音した声の文字起こし
⑦ChatGPT-4oによる57言語対応の文字起こしと要約サービス
⑧専用ワイヤレスイヤホン付属

と、箇条書きにするとこのようなことになる。そしてこれらの機能は有機的あるいはシームレスに機能しZOOMやFaceTimeといったアプリによるオンライン会議に無類の能力を発揮する…。
では主な機能の概要を記してみる…。

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※HiDock H1E の構成


■音声録音および文字起こし
例えばZOOMを使い5人で会議したり何らかの打ち合わせをする場合でもHiDock H1Eのボタンひとつ押せば周囲のノイズを気にせずクリアな録音ができるだけでなく、5人を識別した文字起こしができ、終了後にその要約までやってくれる…。当然後で言った言わない…といったトラブルも起き得ない。

ということで、在宅の仕事でオンラインによる会議や打ち合わせの多い方には必須のアイテムと思われる。なにしろ我々は30分程度の会議だとしてもその内容を正確に記録し分析し、話しの要点をまとめるという作業は得意ではないからだ…。
無論会議や打ち合わせだけでなく1人でアイデアを練ったり情報のまとめ、あるいは思いついたアイデアなどを記録しておくにも威力を発揮するに違いない。

さて、文字起こしの仕組みはHiDock H1Eで録音したデータはあらかじめセットアップし紐付けされたHiNotesというWebアプリに渡される。HiNotesは当該音声データを「文字起こし」するか「文字起こし&要約」するかを選べ、かつChatGPT-4oによる57言語対応の文字起こしが可能。すなわち例えば日本語で会話したデータでも英語で文字起こしをやってくれる…。

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※FaceTimeによる二人の会話を録音し文字起こしと要約を試みた


またHiDock H1E のスピーカーはクリアな音質でBGMを流すのもアリだし内臓のマイクも優秀なノイズキャンセリング機能によりキーボードの打鍵音やペットの鳴き声、外から入ってくる騒音などを効果的に軽減してくれる。

■要約機能機能
テキスト化した文章の要約機能はHiDock H1E の目玉と言ってよい。これはChatGPT-4oによる文字起こし後の要約時はClaudeAI 3.5とChatGPT 4-o の2種類のAIエンジンから選ぶことができ、20種類以上のテンプレートから選択することで最適な要約内容を作成できる。

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※要約はClaudeAI 3.5 とChatGPT 4-o の2種類のAIエンジンから選ぶことができる


ただしオンライン会議などで複数人の場合でも話者を認識して「誰の発言」を区別してくれる機能もあるが、これはオプションのプロメンバーシップに加入しなければ使えないので注意を要する。

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※私は取り急ぎ1200分限定のプロメンバーシップに加入した


注意と言えば、HiNotesはWebアプリだがSafariではなくGoogle ChromeでなければならないのはSafari派の私としては少々厄介だが仕方がない…。

■8-in-1ドッキングステーション
HiDock H1E はドッキングステーションとしても秀悦だ。背面には65W Type-C急速充電ポート、4K 60Hz HDRのHDMI2.0ポート、最大5Gbps USB Type-C 3.2がひとつとUSB 3.2 Type-Aポートが2つ、1Gbpsイーサーネットポートが備わっている。

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さらに正面向かって左側面にはBluetoothボタンと18W USB -C 3.2急速充電ポートがある。
したがって机上回りがかなりすっきりと整理できるのではないか…。

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■ワイヤレスイヤホン付属
プライベートな通話には附属のオープンイヤーワイヤレスイヤホンを使用できる。このイヤホンを充電器から外すと自動的にマイクとスピーカーはこのイヤホン側に変わる。したがって長時間のウェブ会議中にも自由に移動することができるし相手の話の内容を回りに聞かせたくない場合にも有用だ。

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■プライバシーを最優先
HiDock H1E による全ての録音ファイルはハードウェアに保存され、ユーザーの許可なしで他者からのアクセスは出来ない。文字起こしと要約はChatGPTおよびClaudeのAPIサービスにより行われて、データはAI学習に使用されないとのこと。全てのデータはSHA-256とRSAによるエンドツーエンド暗号化をうけ、多岐にわたるコンプライアンスと規制基準に対応しているという。

■ChatGPT 4-oについて
HiDock H1E と連係して使うChatGPT 4-oは生涯使用回数制限なしで無料で使えるのが特徴。
なお "4-o" の o とは「omini」という意味とのことで、"あまねく" という意味を含み、マルチモーダルとなった新たなGPTと多言語に対応したことを指す意図が含まれているようだ。

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※筐体は安っぽさはなく、精緻な作りとなっている


■総評
私自身、このHiDock H1E の全容をやっと把握したというところであり、まだ未知の部分もあるかと思う。しかし知れば知るほど実用的で有用な製品だと思っている。
後はユーザーのアプローチ次第ではないだろうか…。
またこのHiDock H1Eはドッキングステーションとしての拡張がより豊富な上位版もあるが、HiDock H1Eはコストパフォーマンスの点においても秀悦な製品である。

HiDock H1E



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員