Mac Fan編集部より新刊「本田直之式ハッピーワークスタイル」が送られてきた。本書は月刊誌「Mac Fan」の特集連載「Macユーザ思考の仕事術」を大幅に加筆修正したもので、本田直之氏と松村太郎氏がアップルというキーワードをバックグランドにビジネスにとって必要なITスキルを惜しみなく伝授する…といった一冊である。

 

本書を一言で説明するなら、MacやiPhoneなどアップル製品をビジネスの効率や能率あるいはクオリティをあげるため、いかに使えばよいかを伝授してくれるノウハウ本といったらよいのだろうか…。ただし帯に「ビジネスパーソンが学ぶべきものはいくつかあるが、まずITと時間の知識が最優先」とあるように、単にMacやiPhoneの使い方を極めるのが目的ではなく目的はいかにハッピー・ワークスタイルを確立できるかにあるようだ。
ところで本書は仕事や生活を楽しくするためにMacやiPhoneは最適なツールだとしているが、私らのようにAppleと30年も付き合ってきたユーザーが読む本ではなくiPhoneやiPadを切っ掛けにMacintoshに乗り換えたりAppleという企業文化をあらためて認知したいわゆる新しいユーザー層をターゲットとしたものといえる。

HappyWorkstyleBook

※「本田直之式ハッピーワークスタイル」〜秘訣はiPhoneとMacの連携にあり〜表紙


事実著者の本田直之氏はMacを使い始めてまだ2年以内(iPhoneは3年半)、松村太郎氏は2001年にMacを使い始めたと本書にあるとおり、両筆者共にAppleにスティーブ・ジョブズが戻りMac OS Xが登場するなどして勢いづいてからのユーザーである。
無論古くからのユーザーが偉いといっているわけではないが(笑)、私らのような古参のAppleユーザーにとってもともとApple製品は単なる電子機器ではなく昔からカルチャーそのものだった訳で、その一点にこそ魅力を感じたからこそ、誰もがオモチャだと白眼視していた時代から何とか仕事に使えないかと努力してきたわけだから、私などにとって本書のコンセプトはいわば自明の理なのである。

しかし1980年代に「マック」といえばほぼ100%の人がマグドナルドのことだと思ったし「アップル」と言ったところでパソコンを製造している企業名を思い浮かべる人は皆無といってよかった。そして「ソフト…」などと言ったところで周りはソフトクリームのことだと疑わない時代を通ってきた私などには昨今、Appleのメジャーぶりがいまだに奇異に感じ、どこか…何かが違っているのでは…といった違和感まである(笑)。

1990年代初頭からMacとAppleをより普及させたいと文字通り全国を飛び回っていた本人がうろたえるほど現在のAppleはメジャーな存在になったがそれはiPodやiPhoneが切っ掛けとなり、それらがMacを注目させる起爆剤となったからだ。
一昔前はどこか変わり者の使うパソコンといった見方をされていた感があるMacだが、ここにきてAppleという企業やそこから生み出される魅力的なガジェットたちの存在は無視できないどころかトレンドになってきたといえよう。
というか、私がApple製品をお勧めする第一の理由は、ITとか電子デバイス、デジタルデザイン、メディアといった最新情報をAppleという視点から観ていただくことでこれまでのメーカーがいかに独りよがりの物作りしかできなかったかに気づくと共に、製品を作るということはどういうことなのかといったいわば新しい視点に立ったグローバルな物の見方ができるようになると思うからである。
無論それはAppleならびにApple製品がすべてにおいて完全であるという意味ではない。良い点悪い点も含め、新しいビジネスの視点が見えてくると同時にデジタルデバイスの本質といった点にもあらためて気づかされるに違いない。

さて、話しをもどそう…。
これまでにもビジネスをいかにしたら面白く、そして効率よくこなすことができるか…そうした点を踏まえて「情報整理術」といった観点から多くのノウハウが公開されてきたものの、本書を眺めるとお若い方々…特に新しいAppleユーザーが取っつきやすく読みやすいという編集の工夫も含め、本書は最新のアップル製ガジェットとメディアをどう捉えて自分のものにすべきかを教えてくれる最新のデジタル情報整理術の一冊なのである。

Macintoshに関しては勿論だが、昨今は大きな注目を浴びているだけにiPhoneやiPadの解説本もいろいろと登場している。それはそれで悪くはないが本書のようにそれらを使い込むことで目的(ハッピー・ワークスタイル)を効率よく面白く達成しようという類の書籍はもっと出版されるべきだと思う。なぜならガジェット類は多くのユーザにとってオモチャで終わっては大変勿体ないものであり、これを良い意味で手段・道具と捉えいかにしたら日常の生活やビジネスが楽しくできるかをもっともっと考えるべきだと思うからだ。
僭越ながら仕事というのは本来決して楽しい…面白いことばかりではない。しかしiPhoneやMacといった “触媒”の存在がビジネスへの意欲や意識をがらりと変える可能性を持っていることをより多くの方々に知っていただきたいと思う。
というわけで本書は単なるビジネス書でもなくテクニック集でもないが、もしかしたらこうしたスタイルがこれからの新しい時代に向けた「Mac & iPhone 教科書」なのかも知れない。

本田直之式 ハッピー・ワークスタイル ~秘訣はiPhoneとMacの連携にあり~