私もiPadの発売開始を心待ちにしている1人だが、同時にiPadの大きめな液晶サイズを活かしたさまざまなコンテンツのあり方も考えている。そのひとつが大きな括りで言うなら教育という範疇に入るのかも知れないが、絵画などの芸術作品を楽しみながら理解の一助となり、より作者や時代背景といったものに興味を持ってもらえるようなコンテンツを作ってみたいと思っている…。

 

しかしそれは単なるビジュアルのスライドショーというか…アートギャラリーであっては面白くも何ともないわけで、作品の鑑賞は勿論、その解説や見所、作者の人となりといったその時代を歓喜あるいは苦悩を抱えながら駆け抜けたまさしく生身の人間像を浮き彫りにしたいし、彼らが深い洞察の上で生み出した人類の宝ともいうべき芸術作品の魅力に迫るようなものでなければならない…。
そんなことを考えていたところ、現時点でひとつのお手本ともなるべきiPhone コンテンツを見つけた。というよりこの2月18日 App Storeにリリースされたことは知っていたが、その言語がイタリア語でありテキストはもとより解説の音声を聴いたところでまったく理解出来ないからと購入をためらっていた。
しかしあるきっかけでともかく購入してみようとダウンロードしてみたがiPhoneの小さな液晶が少々恨めしく感じ、早くiPadで見てみたいと思わせる素敵なコンテンツであった。

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※「Caravaggio」の起動画面は「果物籠 (Canestro di frutta)」の一部である


この作品はイタリアのスカラ・グループ社(Scala Group)がカラヴァッジオ(Caravaggio)の没後400年記念の展覧会用に制作したiPhone用のコンテンツとのこと。
ファイル容量は66.1MBあるが、カラヴァッジオの40作品が収録されており、テキストならびにBGMと共に音声による解説、高解像度イメージをズームや効果的な画面切替によるトータル30分にもわたる動画映像が収録されている。

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※収録作品のショーリスト(上)と例として「果物籠 (Canestro di frutta)」をタップし動画の解説を指定するとBGMを含む音声(イタリア語)と共に作品の見所が再生される(下)


さらにカラヴァッジオに関わるいわゆる名所案内や伝記・年譜を含み、作者の生きた時代と作品の理解を深める工夫がなされている。

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※イタリア・ローマにおけるカラヴァッジオの足跡を巡ることもできる


なお画家カラヴァッジオについては映画化もされているしお好きな方も多いと思うが彼は1951年9月29日にイタリア・ミラノに生を受けた画家である。
フルネームはミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)だが、あのイタリアルネサンス期の彫刻家、画家であるミケランジェロとは関係ない。
ともかくカラヴァッジオは徹底した写実性と劇的な明暗対比表現で、後のバロック期の画家たちに多大な影響を与えた巨匠であり先駆者として高い評価を得、そのリアリズム溢れる表現は革新的といわれた。
ただし彼は喧嘩っ早く激情型の性格だったようで、決闘相手を殺してしまったり、暴力沙汰で逮捕されたことも数知れなかったと伝えられている。
そういえば、彼の肖像はイタリア紙幣の10万リラに採用されていた。

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※「才能と節度の欠如」と題するカラヴァッジオの解説ページ


なお収録作品は私の分かる範囲を記せば、「愛の勝利(Amor Vincit Omnia)」「リュートを弾く若者 (Suonatore di liuto)」「果物籠を持つ少年(果物売り) 」「果物籠 (Canestro di frutta)」「エジプトへの逃避途上の休息 (Riposo nella fuga in Egitto)」「エマオの晩餐 (Cena in Emmaus)」「キリストの埋葬 (Deposizione nel sepolcro)」 「アモルの勝利 (Amore vittorioso)」「イサクの犠牲 (Sacrificio d’Isacco)」「ロレートの聖母(Madonna di Loreto)」「執筆する聖ヒエロニムス (San Gerolamo scrivente)」などなど40作品が拡大に耐えられる高解像度画像として収録されている。

前記したように解説はすべてイタリア語なので詳細は分からないものの、こうした類のコンテンツとしては大変良くできておりひとつの手本となるものだと思う。だからこそこうしたコンテンツをiPad用に最適化した作品を見てみたいものである。

scalarchives.com
Caravaggio