
前回はMac用ハイエンドウェブカメラ「QuickCam Vision Pro for Mac」を手に入れたきっかけやこれまで使い続けてきた初代iSightとの簡単な比較などを紹介したが「QuickCam Vision Pro」の画質であれば色々なシーンでも活用できるに違いない。今回はその活用を考えてみよう…。
「Logitech QuickCam Vision Pro for Mac」(以後は「QuickCam Vision Pro」と記す)は申し上げるまでもなくウェブカメラであり、その第一の用途はビデオチャットなどお互い相手の顔を見ながらの会話をするためにある。しかしそれは単に相手の顔を見ているだけといった単純なことだけでなく、手元にある資料やアイテムをカメラを通して相手に見せることもあるし無論ビデオチャット以外のためにも活用できる理窟である…。
※30インチApple Cinema HD Display上に常設している「Logitech QuickCam Vision Pro for Mac」
しかし初代iSightの31万画素では残念ながらデジタルカメラの替わりというわけにもいかず、活用はあまり広がらなかったものの「QuickCam Vision Pro」のように200万画素ともなればiPhone 3GSと同等の解像度であるからして、使い方次第ではさまざまな用途に応用できるはずだ。そして売りであるカール・ツァイスレンズの採用も確かに画質の良さに貢献しているようだ。
事実手元にあるあれこれにカメラを向けてみるとなかなか美しい映像が入ってくる。ピクセル数は昨今のデジカメのようには大きくないがウェブに掲載するといった程度なら十分に活用できるレベルである。
まず私の「QuickCam Vision Pro」活用の一歩は日々多くの原稿を書いている「MacJournal 5.1.4」におけるものだ。なぜならこの「MacJournal」は本来テキストツールではあるが思いついたアイデアを逃さないよう音声ばかりか映像のクリップを撮ることが出来るのである。
この場合はスケジュール的なことではなく現在執筆している原稿に対して例えば「後で○○の件を調べて追加」とか「××の件の裏を取ること」といったあれこれが生じる。それらのことを文字で残して置くのも良いが文字ではニュアンスが残せない、あるいは表記できたとしても面倒だと思うことがある。そうしたとき「MacJournal」の録音ボタンを押し、自身の声でボイスメモを録っておくことができる。
その際にモニタの上に常に鎮座している「QuickCam Vision Pro」のマイクロフォンで即座にバックグランドノイズに悩まされず高音質の録音ができるので便利なのだ。さらに映像でなければ説明が難しいようなケースでもボイスメモと同様な簡便さで動画すなわちビデオクリップを撮ることができる。
そうして録音あるいは録画したファイルの再生も簡単だけでなく、必要なら現在入力中のエントリーにペーストしておくことも可能なのだ。
※「MacJournal」上でボイスメモや動画クリップが撮影でき「QuickCam Vision Pro」との相性も抜群だ
この場合、ボイスメモであっても動画クリップであってもそれは他人に見せるためのものではなく自身のアイデアや記憶を確かな物として残しておくためのものだから、クオリティや動画のサイズあるいはfpsには拘らない。ただし後からそれを再生し、意味が分かるほどのものではなければならないのは当然だし高音質、高画質であることに越したことはない…。
まさしく「MacJournal」と「QuickCam Vision Pro」は最適なのである。
重要なのはメモしようと思いついたとき、あらためてマイクとかカメラなどの機材をつないだり用意するのではタイミングを逃してしまうわけで、そうした意味において常に同じ場所に設置している「QuickCam Vision Pro」は便利なのだ。
さて、これだけ綺麗な映像入力ができるならちょっとしたデジカメの代わりに使いたいと思うのは当然であろう。
メールに添付する写真とかブログに載せる写真といった範囲なら特別の場合を除けば「QuickCam Vision Pro」で撮った640×480ピクセルでも使えるし、さら に十分な照明がない場合にもカメラは最高の画像を得るため自動調整してくれるので照明にあまり気を使わなくても済む。
また「QuickCam Vision Pro」のピント合わせはオートフォーカスだが例えば細かな文字が書かれた書類などを10センチ程度に近づけてもクリアにピントが合う。
※ダウンロードしたマニュアルを印刷したものを「QuickCam Vision Pro」でキャプチャした例。現物は大変小さな文字だが綺麗に撮れている
例えばiChatは確かに画像のスナップショットを撮る機能もあるものの効率は良くないし最大の問題はウェブカメラという性格上モニタに表示されている映像は左右が逆であり、そのままでは使えない。無論スナップショット後にPhotoshopなどで左右反転させればよいが煩雑であろう。
※iChatのスナップショットで撮った映像はウェブカメラ専用という仕様から左右が逆になっている
私がこの種のツールとして以前から使っているのが「CamGrabber」というフリーウェアだ。リリースが2003年8月と初代iSightが登場した時期以来アップデートはないようだが、私のメインマシンの環境 Mac OS X 10.5.8上で問題なく使えるので便利にしている。
※「CamGrabber」のアバウト
なおこの種のツールは初代iSightのインターフェースであるFireWireのみをサポートし「QuickCam Vision Pro」のようなUSB接続を認識しないものもあるが、幸いなことに「CamGrabber」は「QuickCam Vision Pro」でも使えることが確認できたので喜んでいる。
何よりもこの「CamGrabber」はシンプルにもシンプルな機能しかないだけに映像のキャプチャには適している…というかそのためだけのツールなのだ。
※「CamGrabber」で「QuickCam Vision Pro」を使った例(上)。前記したものと同じ対象を「CamGrabber」で撮ると左右反転はしない(下)。また「CamGrabber」のウィンドウ右上にはキャプチャしたフレーム数がカウントされる
画像のサイズは「QuickCam Vision Pro」の場合、640×480ピクセル固定だがキャプチャは映像が表示されているウィンドウ内をマウスクリックするだけである。そのキャプチャされた画像ファイルはデスクトップ上に作った “CamGrabberPhotos” というフォルダに日付とキャプチャー順にJPEGファイルとして保存されるという仕組みだ。さらに撮影時にキーボードのスペースキーを押すことでポーズ機能が働くのも洒落ている。動作している対象でも一度ポーズさせ、気に入ったらキャプチャするといった作業ができるわけだ。
無論この「CamGrabber」による映像表示は前記したiChatのように左右反転されない仕様なのでまことに都合がよい。
それからApple純正ソフトとして「Photo Booth」がある。このツールはキャプチャした後に左右反転した映像を保存することも出来る。しかし「Photo Booth」はディフォルトだと撮影ボタンを押してから3秒待たなければならない。無論ご承知だと思うが撮影ボタンをクリックする際にキーボードの「option」ボタンを押しながら実行すると3秒待つ必要はなく瞬時にシャッターは切れるが両手が塞がるし連続して多くの映像をキャプチャする際には不便であろう。
※「Photo Booth」で「QuickCam Vision Pro」を使った例
その点「CamGrabber」ならマウスクリックするだけだから、例えばカメラ…すなわち「QuickCam Vision Pro」を何らかの方法で固定し、粘土で作った人形などを少しずつ変形・動かしながらスナップショットを撮っていけばクレイアニメーションなども手軽に可能となる。
それから確かに昨今の新製品群に内蔵されているiSightカメラもビデオチャットには便利だが視野を変えるにはマシン本体や液晶モニタ部を動かさなければならないしそれにも限度がある。しかし「QuickCam Vision Pro for Mac」はその点、ケーブル長の限度はあるもののユニバーサルクリップにより自在な設置が可能なことを含めて応用範囲は広いに違いない。
なお蛇足かも知れないが過去に “engadget日本語版“ などでこの「Logitech QuickCam Vision Pro for Mac」が紹介された際、その本体色を”シルバー“と称している記事があるが、現物はブラックカラーである。私が購入したVintage Computer社にも問い合わせてみたが、どうやらメーカーサイトに掲載された写真は照明の反射のためグレーとかシルバーに見えた点を早とちりしたように思える…。