
Paul Kunkel著、Rick English写真、そして大谷和利氏の訳「アップルデザイン−アップルインダストリアルデザイングループの軌跡」はAppleを知りたい人には一級の資料となる。しかし意外に読んでいる人は少ないようなのが残念…。
iPodの成功やiPhoneの発表などで、これまでMacintoshユーザーでなかった人もAppleという企業を知り、そして興味を持つようになる人が増えている。私の回りでもiPodユーザーは多いが、同時にMacintoshユーザーである場合は2割にも満たない…。
しかし、そうした人たちの中にも「iPodを製造しているAppleってどんな会社なのか」ということに興味を持ち、インターネットなどでその歴史のあれこれを知って私たち同様にアップルフリークになっていく人もいる。
そうした人たちと会う機会があると、一昔前の私たちがそうであったように、Appleという会社とその製品はもとより、様々なエピソードなどが話題になる。なにかタイムマシンで20数年前の自分たちに戻ったような錯覚を覚えるほど熱心なユーザーもいて愉快だ。
無論そこに私などがいればある意味で質問攻めとなる。
「コンピュータ会社の社名になぜAppleなのか」「スティーブ・ジョブズとはどんな人物なのか」「iPhoneとNewtonは似ているのか」「Apple IIで何ができたのか」などなど…大変だ(笑)。
Appleという企業とその歴史や製品たちに興味があり、過去の生い立ちなどを知りたいと思う人たちがまず最初にやることは無論インターネットで検索することだ。当「Macテクノロジー研究所」もそうした方達の役に多少とはなっていると自負しているが、いかんせんウェブページの情報は個別の調べ物には適していても、全体像を斜め読みするには向いていない。また中にはガセネタをまことしやかに吹聴しているものもあったりで、お勧めできないものもある。
「どんな本を読んだらAppleのこれまでが分かるか?」という類の質問に私は「アップル・コンフィデンシャル2.5J (上下巻)」アスペクト刊(オーウェン・W・リンツメイヤー+林信行著)と「アップルデザイン−アップルインダストリアルデザイングループの軌跡」アクシスパブリッシング刊(ポール・クンケル著、大谷和利訳)をお勧めしている。勿論その他にも有益な著書はあるが、まずこの2書を手元に置いてじっくりと読んでいただくことがAppleを知る早道だと思っている。
※「アップルデザイン−アップルインダストリアルデザイングループの軌跡」カバー(上)と掲載写真の例(下)
しかし、そこは今の若いひと達だ。中には書籍に集中するのが苦手な人も多く、「アップル・コンフィデンシャル2.5J の上下巻を見せただけで、そのボリュームに「うへぇ〜」と声を出した奴がいる(笑)。
※「アップル・コンフィデンシャル2.5J の上下巻
しかし「アップルデザイン−アップルインダストリアルデザイングループの軌跡」を見せると、その美しい多くの写真を食い入るように見入る。そこにはご承知のようにApple Computer社がこれまでリリースした製品だけでなく、多くのプロトタイプや立案だけでお蔵入りとなった製品などが魅力的に掲載されているからだ。そして巻頭の年表や解説は、Appleに関連する人・製品ならびに、それらが織りなす様々なエピソードに満ちており、他の資料にはない魅力的な内容も多い。
したがってAppleのこれまでを知りたい人には躊躇なく「アップルデザイン−アップルインダストリアルデザイングループの軌跡」を勧めるのだが、これまた残念なことに1998年7月に発刊された本著は Amazon.co.jpで検索しても、すでにユーズド商品扱いでしかなく、状態がよい本の中には定価より高いものまである。
まあ、多少の汚れやスレはどうでもいいので、是非機会を得て入手できるうちに本書を手にしておくことを私の回りのニューアップルユーザーたちにはお勧めしている。
本書のただひとつの欠点があるとすれば、大判なので通勤時に読むには適さないことか…(笑)。