iPadの登場で高揚しているとき、あまりにもオールドな話で恐縮だが私にとっては決してどうでも良い話ではないのである。それはLisaを入手して以来探していた、Lisaキーボード底面に引き出しのようにして利用するリファレンスカードをやっと手にすることができたのだ。

 

無論このリファレンスカードはコンピュータに不慣れなユーザーにキーボード操作を容易にするためにとられたAppleの工夫のひとつである。
現在ではこの種の情報はせいぜい本体付属のマニュアルに書く程度だろうし、そもそもがキーボードの使い方といった詳しい説明はさすがにいらなくなった感もある。しかしLisaがリリースされたのは1983年のことでありマウスのオペレーションは勿論キーボードのショートカットといってもひとつひとつを説明する必要がある時代だったのである。

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※Lisaキーボード付属のリファレンスカードを引き出した例


Appleとしてはマウスと共に搭載したグラフィカル・インターフェースがコンピュータに馴染みのないユーザーでも短時間に使えることを目指したわけであり、キーボードそのものにいつでもその使い方を参照出来るリファレンスカードを装備したのはそうした意味において念には念を入れる意図だったのだろう。

私は幸いにして昨年5月に状態の良いLisa 2/10を手に入れる事が出来た。そして本来Lisa 2/10というモデルは内蔵ハードディスクタイプであるが、Lisaの全容を知りたいという意図からあえてProFileという頭上に乗せるハードディスク入手に拘ったしマウスもあえてオリジナルなLisaマウスを揃え、いまでは使われないケースも多いと聞くグレアフィルタも揃えた次第…。
こうした拘りは当時販売されていたLisaがどのような状態だったかを知りたいからであり、私にとってどうでもよいことではなかったからだ。それでもすでに25,6年も昔の製品だからして文字通り通常販売されたときと同様に完全な形で手に入れることができるはずもなかった。

そのひとつがキーボードのリファレンスカードだったのである。
その存在はリアルタイムで見たことはあるものの当時は本体やOSほど気にとめたわけでもなく、それがどのようなものであったかの記憶はおぼろげになっていた…。そして私の手に入れたLisaはまったくトラブルのない完品だったがそのリファレンスカードが付いていなかった。
ただしすでに私にとっても実用性はなく、そのリファレンスカードがあったところで効用はないがやはりもともと付いていたものはなければならない…。そんな気になっていた品なのである。

さて、実際にリファレンスカードを手にしてみるとやはり記憶は当てにならず実物を手にしてはじめて知ったこともあった。
まずリファレンスカードはキーボード底面にある専用の収納場所に4枚構造で収められているがその向かって左の1枚目はキーボードのキートップを一覧にしたものでキーボードそのものに刻印されていない記号などの位置が明記してある。

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※リファレンスカードはキーボード底面のホルダーに4枚収納されている


2枚目はアイコンの解説、3枚目がウィンドウ…例えばクローズアイコンやタイトルバー,スクロールバーなどの説明とテキスト入力の基本的オペレーションについて解説してある。
4枚目はLisa本体のシリアルナンバーといったマシンの機器構成をメモするページである。

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※4枚のリファレンスカード表面


これらが重なって収納されているがそれぞれ位置の違うタブがあり、指で簡単に引き出すことができるよう工夫されている。そしてその材質は紙製ではなくプラスチック製であり鉛筆でメモ書きできるようになっている。無論鉛筆であれば消すことも可能だ。
そして4枚目だけでなくこの4枚のリファレンスカード全体の裏面はすべて鉛筆でメモ書きできるようになっており、事実上リファレンスの内容が理解出来た際には4枚すべてを裏返しに入れ直してLisaオペレーション中に何らかの必要があった場合にはメモ書きとして使えるようになっているわけだ。

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※リファレンスカード裏面は鉛筆書きできるようになっている


いまではこのようなものは無用の長物だろうが繰り返すがLisaの発売された1983年当時はまだまだパーソナルコンピュータやキーボードといったものに大きなアレルギーを持っている人たちが大半だったのである。
その1983年といえばワープロ専用機でさえまだ小型化の途中であり、価格的にも中小企業や個人が手にすることが可能になったのは1980年代後半であった。そのような時代にグラフィカルユーザー・インターフェースとかマウスといった代物が一般にどのように映ったかを想像していただくのも一興なのではないかと思うのだが…。