
メインマシンの不調のひとつに「Ustream Producer」によるライブが上手くいかない点があった。映像は配信できるもののどうしたことか音声が遅れない…。ということでクリーンインストールしたSnow Leopardでやっとトラブルなくテスト運用を開始しているが、こうした人々の生き方と価値観を大きく変えるテクノロジーを眼前にするのは何とも心地よい。
「Ustream」はご承知のようにパソコンとウェブカメラあるいはiPhoneなど、そしてWI-FIやブロードバンド環境があれば、大層な設備を必要とせず誰でもがリアルタイムに映像を配信できるという動画共有サービスである。
その「Ustream」も最初は日々多くのビジネスモデルが誕生する中のひとつに過ぎなかったが「Twitter」のAPIを採用したことも含めて一気にその活用度が高まり個人はもとより企業の広報活動や政治に至るまで使われ認知されるまでになった。
私もその「Ustream」を本格的に活用しようと先般「Ustream Producer」を使い始めたが、こうも簡単にリアルタイムに映像配信ができるとなればその事実はともかくいかにしたら楽しいことができるかを考える方が大切だと思うに至る…。
※風呂上がりに「Ustream Producer」による配信テストを行う(笑)。またQuickTimeの動画もスムーズに配信できるのは驚異。ただしmactechlabのチャンネルは現在基本的に未公開である
さて、お若い方々に申し上げたところでなかなか共感は得られないだろうが、私たち団塊の世代はこれまで「世界を変えると言われたテクノロジー」とそれらを応用した「プロダクト」に多々出会ってきた。しかし本当の意味で日常の生活スタイルを変え、私たちの考え方や価値観までをも変えてしまったアイテムは無論そんなに多くはない。
私自身が出会ったそうしたアイテムを時系列に並べてみると「電話」「テレビ」「パーソナルコンピュータ」「パソコン通信/インターネット」そして「携帯電話」ということになるだろうか…。
現在ではすでに当時の感激を思い出すのは難しいが、自宅に黒電話が設置されたとき、そしてモノクロテレビが六畳間の片隅に宝物のように鎮座したその日は忘れようがない。そして私は1977年にワンボード・マイコンと出会い、ソフトウェアさえ開発すれば無限の能力を持ち、何でも可能とすると思われた個人で所有する「コンピュータ」に魅せられ、紆余曲折はあったものの後にソフトウェア開発を生業にしてしまった…。まさしく人生そのものに大きな影響を受けたわけだ。
また「携帯電話」も個人としては早い時期に手にした。ただしそれ以前のポケットベルや馬鹿でかい自動車電話といったものには興味はわかなかった。
携帯電話のサービスそのものは電電公社が民営化されNTTとなってから加速された感がある。
1985年には肩掛け式のショルダーホンが発売開始になったが私が手にした最初の携帯電話は1991年4月に超小型携帯電話「ムーバ」シリーズが発売され、1992年にNTTからNTTドコモが分社された翌年の1993年だったと記憶している。無論入手の目的はビジネスの効率化を目指したものだったが居場所を特定せずに通話ができる快適さ便利さに思わず顔がほころんだことを昨日のことのように覚えている。
これは当人の責任でも能力でもないので仕方がないが、生まれたとき既にテレビはもちろん、パソコンや携帯電話が不思議でも何でもなく存在するとなればありがたみも分からないのではないだろうか。だからこうしたテクノロジーを最初に手にしたときの感激というか高揚感はなかなか分かるまいと思うがどんなものだろう…。
こうしたワクワク感や驚愕を覚えたアイテムはその他にも「ステレオプレーヤー」「テープレコーダ」「デジタルカメラ」などがあるものの、何しろ私が小学生の時だったか…上野の国立科学博物館に行ったとき、そこにあった展示物の中に「電話機」と「テープレコーダー」があったのだからそれらが家庭に入った現実にどれほど喜んだかは想像していただけるものと思う(笑)。
そう、話をパーソナルコンピュータに限定しても「DTP」や「デジタルビデオ」の登場はまだまだ記憶に新しいが、それらを眼前にしたときの高揚感は忘れられない。
しかしそうした新しいテクノロジーやプロダクトに触れる機会が多くなるほど私は「新たにできること」と「それを使うこと」は別次元の問題だということに気づくことになる。そしてこれらは人を驚かすためとか、単に便利さを売り物とするのではなく使う者を幸せに、生活を豊かにしてくれるものでなければ本物ではないという確信を持つに至る。
「パソコン通信」のサービスが知られるようになったとき「モニタ画面で、それも文字で会話してどこが面白いのか」「何か得るものはあるのか」といった否定的な意見もあったが、画面の向こうにはいま同じようにモニタを見つめている人のぬくもりを感じたものだ…。そしてオンラインでの出会いは不思議にオフラインの出会いを現実のものとして多くのコミュニティーができたしそれは多分に「Ustream」だって同じだと思う。
そうした現実を最初期から見てきた1人としていま「Twitter」や「Ustream」に期待しているわけだが、これらは私にとって「これまで出来得なかったことができる」とか「より便利になった」という単にこれまでの問題点を解決する終点ではなく、より広い世界への扉を開くスタートなのである。
またQuickTimeが存在しない前からMacによるデジタルムービーを最初に作り出した当事者としても今更ながらパーソナルコンピュータやiPhoneといったガジェットで映像が行き来できることに感激しつつもこうしたテクノロジーを一過性のものとして終わらせてはならないと強く思う。
「Ustream Producer」を使い、実用レベルのリアルタイム映像配信ができることは分かったいま、さてどのような生かし方があるのかを今一度精査してみたいと考えている。勿論手放しで喜んだり過大評価をすることは近視眼的だと避難もされようがまずは発信する自分自身が楽しいものをと考えてみたい。
「オヤジがなにを悠長なことを…」という声も聞こえてきそうだが(笑)、オヤジにしかできないこともやってみたい。そして試行錯誤をしながらフォーカスを定めていこうと思っている。