文字通り線香臭い話で恐縮だが、いま父の遺骨が納骨の日を待ち我が家に安置されている。したがって朝晩あるいは気がついたときに線香をあげているわけだが、最近の線香は煙が少ないもののその香りはやはり…線香臭い(笑)。特別嫌いな臭いではないものの、最近は海外向けとして檜の香りとか蜂蜜の香りや緑茶の香りがするものまである。そうした中で今回は珈琲の香りがする線香を買ってみた。

 
昔は線香に縁もなかったし線香なんて皆同じだとしか思っていなかったが、いやいやこうした製品も創意工夫がないと生き残っていけないのかも知れない。
たまたまネットで知った創業三百有余年という梅栄堂のサイトでいろいろな香りの線香があることを知った。

日本の歴史に多少でも興味のある一人として、香は飛鳥・奈良・平安時代において仏教と共に渡ってきたとされていること。また現在のように仏事だけでなく貴族たちが日常的に室内や衣装に香を炊き込めていたということは知っている…。むろんこれは香りを楽しむというだけでなく、近代のように風呂に入る習慣がなかった時代でもあり、体臭を消す大切な役割も持っていたらしい。
それらの香りは香木が主だったようだが、後に線香が我が国にも伝えられ茶道・華道と共に香道が確立されていく…。
さて、香料の原料は高価な白檀、伽羅、桂皮など植物系がほとんどだが、他に巻き貝の殻なども使われているそうだ。

その線香にもいろいろな香りのものが存在するわけだが、やはりその香りは普段馴染みがない私などには仏事の一環としかイメージがわかない。そして冒頭にも記したが特に嫌いな臭いではないものの線香の香りを楽しむと言ったことには縁遠い。
しかし線香は線香だからしてこの種の臭いは当然のことであり仕方がないものだと思っていたが、実は檜の香りとか緑茶の香り、あるいは蜂蜜の香り、苺の香り、そして珈琲の香りの製品があることを知った。
そこで新しもの好きの一人として早速珈琲の香りがするという線香をオーダーしてみた。

incensestick

「仏前に変なものを…」と眉をしかめる方がいるかも知れないが、こうした変わり種の線香が登場するのも良いと個人的には考えている。それに父は生前コーヒーを好み、自分で豆を買い毎日飲んでいたし、死去する前日には弟の煎れたコーヒーを「美味い」といっていたほどの人間なので怒りはしないだろう(笑)。

さて今回手に入れた線香は前記したように梅栄堂というところの製品だが、珈琲の香りといっても2種類ある。まるで飲み物としてのコーヒーのようだが先に発売された香ばしいコーヒーの香りが売り物の「残香飛」と、最近その好評に答えて渋みを加えた香りの「残香飛ブラック」があるのだという(笑)。
無論コーヒー通としてはブラックにしようとその「残香飛ブラック」を買ってみた…。
その印象だが、正直期待していたより珈琲の香りは強くない。無論これは珈琲そのものではなく線香なのだからそうした…微妙なものなのだろうが、珈琲の香りだけを期待すると期待はずれかも知れない。また確かに珈琲の香りはするものの、豆を挽いたときの独特なあの芳香というより、ドリップした後の豆を片づけるときの苦み走った香りといった印象を受けた。

何れにしても線香の香りは部屋に残るものだ。したがって少しでも気に入った香りのものであるべきだと思うから、しばらくはこのブラック珈琲線香を使ってみたいと考えている。

梅栄堂